「低所得者」4500万人!?納税義務者、国民の半数 2016/12/5 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の法務面にある「「低所得者」4500万人!?納税義務者、国民の半数」です。





 日本では2900万人超が所得税や住民税を一切納めず、控除の対象でもない。脱税や滞納をしているわけではなく、納税の義務がない。総務省の「市町村税課税状況等の調」によると、2015年度に住民税の納税義務があったのは6034万人。昨年1月の成人人口から引くと、4535万人が非課税となる「低所得者」だった。

 所得税の課税最低限は単身者で年収103万円。住民税はそれより低く、東京23区など大都市では100万円が境になる。納税していない人には主婦や学生が含まれる。扶養控除などの対象者を除いたところ、2908万人がいずれにも該当しなかった。生活保護受給者の217万人(15年1月)を除いても、2691万人が年100万円以下で暮らしていることになる。

 この人たちはどこに住んでいるのか。総務省に情報公開請求して入手した市町村別データを調べたところ、87万4600人の大阪市が断トツに多かった。人口に占める比率では57%の鹿児島県伊仙町、54%の同天城町など7町村で5割を超した。雇用の場が乏しい離島やへき地で目立つ。

 伊仙町と天城町は奄美群島の徳之島にある。サトウキビ栽培など小規模農家が多く、めぼしい産業はない。それでも「生活が苦しくても住民はほとんど顔見知りでプライドもある。生活保護を申請する人は多くない」(天城町税務課)。

 生活保護を除いた全国の2691万人という数は、消費税率が5%から8%に上がった14年度以降、国が実施している簡素な給付措置(臨時福祉給付金)の支給対象者(16年度予算で2200万人)に近い。厚生労働省社会・援護局は「非納税者が全員厳しい生活をしているかは一概に言えないが、対象を市町村で客観的、機械的に抽出できることが必要」(総務課)という。ギリギリで暮らしていると、病気になるなど急な出費で生活が立ちゆかなくなることもある。

 一方、日本で非納税者が多いのは、高齢者が優遇されている面もある。65歳以上の年金受給者の課税最低限は155万円と勤労者より高い。多額の資産があっても収入が基準以下なら税金はゼロ。遺族年金の受給者にも税金がかからない。

 政府は現在、配偶者控除の上限引き上げについて議論している。だが、大和総研の鈴木準主席研究員は「公的年金等控除をどうするか、議論するのが先ではないか。課税は年金と賃金で中立にすべきだ」と話す。

 給料から税が源泉徴収されるサラリーマンは、非納税者がこれほど多いと知ったらどう思うか。ふるさと納税でますます高額の返礼品獲得に励むなど、「防衛」するのかもしれない。

(日経グローカル副編集長 磯道真)



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