「南シナ海」中国ペース ASEAN以外の干渉排除 2017/8/7 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「「南シナ海」中国ペース ASEAN以外の干渉排除」です。





 【マニラ=鈴木淳、伊原健作】東南アジア諸国連合(ASEAN)や米国、日本、中国などが7日、フィリピンの首都マニラでASEAN地域フォーラム(ARF)など関連会議を開き、領有権を争う南シナ海問題を協議した。日米が中国の進める軍事拠点化に懸念を示したのに対し、中国は域外国の介入をけん制。ASEANと合意した紛争防止の「行動規範」枠組みを盾に、自国のペースで事を運んだとみられる。

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会議に出席した中国の王毅外相(7日、マニラ)=ロイター

 ARFでは、中国が南シナ海の島々を埋め立て、滑走路などの軍事施設の建設を進めていることについて日米などが懸念を表明。これに対して中国はかねて「当事者ではない国が介入すべきではない」と主張して日米の批判を受け付けず、ARFでも同様の主張を展開したもようだ。

 背景には中国とASEANの関係が昨年と比べて改善していることがある。6日の中国・ASEANの外相会議では、南シナ海の紛争を防ぐ「行動規範」の枠組みを承認した。ASEANは中国との枠組み合意を基本的に評価しており、中国の王毅外相は「中国とASEANとの関係は成熟期を迎えた」と強調した。

 国によって対中姿勢に違いはあったものの、ASEANは従来、中国による南シナ海の環礁の埋め立てや軍事拠点化を「深刻な懸念」などの表現でまとまって批判してきた。今回のARFなど関連会合ではこうした結束は乱れ、5日のASEAN外相会議の共同声明でも「数人の大臣から出された埋め立てへの懸念に留意する」などと弱い表現にとどめた。

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 特に対中姿勢が最も強硬だったフィリピンがドゥテルテ政権誕生後、融和に転じたことでASEAN内で南シナ海問題で中国に団結して立ち向かう機運が崩れている。ASEAN各国は貿易や投資面での中国との関係を深めていることもあり、ベトナムを除けば対中姿勢は強硬ではなくなっているのが実情だ。

 昨年7月には南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶとする中国の主張を否定した仲裁裁判所の判決が出た。ARFの前に開かれた東アジア首脳会議(EAS)の外相会議で判決に言及したのは日本など一部にとどまった。

 こうしたASEANの対応に、王毅氏は「南シナ海情勢を巡る雰囲気は過去とは異なり、積極的な進展がみられる」と誇示した。7日に当初予定していたベトナム外相との会談は直前にいったん中止。中国外交部の関係者は「2人は既に会った」と説明したが、立ち話程度にとどまった可能性がある。王氏は、環礁の埋め立てに懸念を示したのは「1つか2つの国の外相だけだ」と不快感を示していた。

 一方、米国の立場が変化したことも中国が主導権を握りやすい要因となっている。米政権は従来、南シナ海問題で国際法の順守を強く訴えてきた。だが、足元では大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射など軍事的な挑発を続ける北朝鮮の封じ込めに中国の協力が不可欠なことなどから、今年は対中批判のトーンが低下した。

 そもそも米国はトランプ政権誕生後、ASEANにどう関与するのか外交方針がはっきりしていない。オバマ前政権時代に任命していた「ASEAN大使」もトランプ氏の就任後は空席のままだ。東南アジアに積極的に関わる姿勢は今のところ見えず、中国の主張が受け入れられやすい土壌ができている。



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