「投資外交」で勢い増す中国米ユーラシア・グループ社長イアン・ブレマ ー氏 2017/9/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「「投資外交」で勢い増す中国米ユーラシア・グループ社長イアン・ブレマー氏」です。





 ある国が国際社会において、自らの権益を主張する方法は数多くある。軍事力を誇示する国や破壊活動をする国、こけおどしの文句を並べる国もある。中国の場合はアジアやアフリカ、中南米、欧州においてさえ投資をテコに、困っている政府から望むものを得ようとしている。

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 最も明白なのはアジアだ。米国とパキスタンの関係は近年大幅に悪化したが、多くの理由がある。トランプ米大統領とインドのモディ首相の良好な関係が、パキスタン政府に中国との関係強化に動く格好の口実を与えた。中国の対パキスタン投資は勢いを増した。

 中国の経済圏構想「一帯一路」の一環である550億ドル(約6兆円)規模の中国・パキスタン経済回廊プロジェクト(CPEC)はパキスタンに成長をもたらし、必要とされる雇用を創り出している。中国はパキスタン南部グワダル港の開発を認められ、インド洋での存在感を高めるだろう。

 中国は(人権問題などに関する)欧米の批判に反発するフィリピンのドゥテルテ大統領に、開発が遅れている同国のインフラ構築を支援すると約束した。現時点で中国はあまり多くのことを実行していない。だがドゥテルテ大統領は支援の約束を取り付けただけでも納得し、中国やフィリピンなど複数の国が領有権を主張する南シナ海について、中国の進出への抗議を控えることにした。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国には親中の姿勢をとる国も多いが、フィリピンも加わった。

 マレーシアのナジブ首相も、南シナ海への中国の進出に対する抗議から手を引いたようにみえる。同国も道路や橋、特に鉄道への投資を必要としているからだ。国営投資会社「1MDB」を巡る資金の流用疑惑などもあり、財政が悪化しているからでもある。

 中国は長年、豊富な資金を利用してアフリカにおける影響力を強化してきた。習近平国家主席は今後数年間で、さらに数十億ドルの支援を約束しているという。中国は影響力を一段と強めるため、北京を拠点とするメディア「スタータイムズ」を通じ、アフリカ30カ国の家庭に向けたテレビ放送などで中国の世界観を伝えている。

 中国など主要新興国5カ国で構成するBRICS首脳会議の加盟国、南アフリカは、アフリカ南部15カ国で構成する南部アフリカ開発共同体(SADC)への入り口を提供した。SADCは中国の成長を支える天然資源へのアクセスと、中国のアフリカ地域への政治的な影響力を強める機会を与える。中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、両国は2015年に65億ドル相当の商談に合意しているという。

 南アフリカ政府は中国の投資に報いるためか、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世の訪問を拒否している。ダライ・ラマ14世は中国では外交上「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」だが、南アフリカでも09年以降、入国を3回拒否されたようだ。

 ケニアのケニヤッタ大統領は、5月に北京で開かれた一帯一路の国際フォーラムに招かれたアフリカ首脳のうちの1人だ。ケニアは一帯一路の海上ルートの一部として、中国のインフラ投資の主要受け入れ国になると予想される。中国はすでにケニアの首都ナイロビと貿易港モンバサを結ぶ高速鉄道を建設している。ケニア政府は感謝の意を示すため、中国の南シナ海の領有権主張に対する支持を表明し、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)への人民元組み入れも支持したようだ。

 中国はかなりの時間と資金をかけて、中南米での影響力の強化にも動いている。中国はブラジルなどにとって最大の輸出市場になった。ボリビアは、中国からの輸入がどの国よりも多くなっている。同様の状況のパナマは6月、台湾と断交して中国と国交を結び、中国に外交的な勝利をもたらした。

 中国は欧州のギリシャにも投資するようになった。債務危機に陥ったギリシャは、欧州連合(EU)から押しつけられた緊縮財政と厳しい批判にうんざりしている。ギリシャは一帯一路の構想を通じ、中国の投資を得た。今では中国の国有企業が、ギリシャ最大のピレウス港を運営する。EUは6月、国連の人権理事会で中国の人権状況を非難する声明をとりまとめようとしたが、ギリシャの反対で阻止された。ギリシャは、中国の南シナ海の領有権主張に対しても支持を表明しているようだ。

 ギリシャのある政府高官は8月、「欧州はギリシャを中世の吸血鬼のように扱うが、中国はお金をどんどん持ってきてくれる」と語った。米国やEUなどは、ある国がどうしても必要とするプロジェクトへの投資の条件として、政治行動まで変えさせようとする。米国やEUなどが学ぶべき教訓が、ギリシャの高官の発言に込められている。トランプ大統領は米国の力を吹聴するものの、巨額の小切手を切ることに関心はないとはっきり述べている。中国のやり方は、次にどこで成功するだろうか。

 Ian Bremmer 世界の政治リスク分析に定評。著書に「スーパーパワー――Gゼロ時代のアメリカの選択」など。47歳。ツイッター@ianbremmer



「「投資外交」で勢い増す中国米ユーラシア・グループ社長イアン・ブレマ ー氏 2017/9/15 本日の日本経済新聞より」への1件のフィードバック

  1. 西側資本家や親中派政治家と中国共産党専制政権はグルだ。経済利益最大化のためには人権や道徳の無視堕落すら厭わない。これがいわゆるグローバリズムの本質。中国共産党は自国人民を奴隷労働力として資本家に提供しその対価として技術や資金を得た。中国人民の大半は酷使され、環境も破壊され富強の恩恵に全く受けてはいない。そしてその結果として今や中国共産党はモンスターと化し、資金力軍事力で以って西側民主主義陣営を脅かそうとしている。キッシンジャーやクリントン、メルケルを始めとした親中政治家は偽善者だ。彼らは人権道徳価値などよりも利益だけを重視して来た。中国共産党を今のようにつけあがらせた元凶はこれらの西側親中政治家と資本家連中である。そんな価値観を未だに吹聴している評論家も数多い。おそらくその多くは中国共産党からの指示を受けているのだろう。なにせ、彼らはプロパガンダの達人だ。メディアからの格好のバッシング対象とされている米国のトランプ大統領と日本の安倍総理はそんな連中に対するアンチテーゼ的存在だ。未来の世の中が金のことにしか目がない大金持ち集団とそれと利害が一致する独裁権力者により支配される暗黒社会になることを深刻に憂う。それは人類史における文化的退行現象であり、文明社会の崩壊と堕落を意味する。

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