「米から輸出」に免税、共和と新政権が議論へ 2017/1/12 本日の 日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「「米から輸出」に免税、共和と新政権が議論へ」です。





 【ワシントン=河浪武史】米議会共和党は20日のトランプ次期政権の発足後、輸出を免税とする一方、輸入への課税を強化する新たな法人税制の導入を検討する。トランプ次期大統領の「米国第一」の主張に沿い、税制で企業の生産拠点の米国回帰を促し、国内投資を後押しする狙いだ。世界貿易機関(WTO)が禁じる輸出補助金にあたる可能性もあり、実現は流動的だが、世界の法人税制議論に一石を投じそうだ。

 トランプ氏は連邦法人税率を35%から15%に下げると主張している。ただ税制は議会の決定権限が強く、改革を主導するのは上下両院で多数を握る議会共和党の指導部だ。ライアン下院議長は大統領選中にたたき台となる改革案をまとめており、同案を軸にトランプ氏と調整に入る。

 共和案でも20%への税率引き下げをめざすが、最大の特徴は企業の税負担について、輸出は軽く、輸入は重くする点だ。

 まず、輸出は免税とする。例えば、すべての利益を輸出で稼ぐ企業なら、税負担はゼロになる。輸出企業にとって大幅な減税だ。輸出品が値下がりし、米製造業の競争力が高まる効果がある。

 一方、輸入への課税は強化する。現行制度では米企業が商品を輸入すれば、その分を仕入れコストとして差し引き、課税対象の所得を計算できる。ところが共和案では輸入品の仕入れコストを差し引くことを認めずに課税対象に含めるため、事実上の課税強化となる。

 例えば、輸入品を利益ゼロで売る企業があると仮定すると、現行制度では税負担はゼロだが、共和案では利益がなくても税金を払うことになる。

 輸出の優遇を通じて米国内の産業や雇用を守り、投資や生産を促す狙いだ。トランプ氏は海外移転を計画する自動車メーカーに「国境で高率の税金を課す」と脅している。同氏の「国境税」の詳細は不明だが、企業に米国回帰を促す共和案も基本的な発想は同じだ。

 なぜ、こうした「米国第一」の改革案が出てくるのか。法人税制の基本的な考え方を大きく転換しているためだ。

 現在、米国を含む世界の法人税制は事業拠点に基づいて課税しており、米企業が輸出で利益を得れば、国内事業と同じく米国の法人税率が適用される。一方、共和案は、製品やサービスを最終的に消費する国で課税する「仕向け地主義」という考え方を取り入れた。

 本来は消費税のような付加価値税に適用される国際ルールだ。例えば日本では、海外からの輸入品に原則、8%の消費税がかかる。これに対し、輸出では原材料の仕入れなどで払った消費税分が輸出企業に還付される。貿易での付加価値税の二重払いを防ぐためだ。

 米国では日本や欧州各国と異なり、全国共通の付加価値税がない。米企業には輸出の際に税還付がないのに、輸出先で課税される不満が長くくすぶっていた。共和案はこの不満を反映させたといえるが、制度の実現性に加えて、世界の税制や貿易への影響を巡り、国内外に波紋を広げそうだ。



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