「米影響縮小、世界不安定に」英王立国際問題研究所所長ロビン・ニブレ ット氏独裁的指導者へ圧力緩む 2018/1/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「「米影響縮小、世界不安定に」英王立国際問題研究所所長ロビン・ニブレット氏独裁的指導者へ圧力緩む」です。





 トランプ米大統領による「米国第一」の政策をはじめ既存の世界秩序を揺るがす動きが相次ぐ。英国の欧州連合(EU)離脱などを巡り2018年も波乱含みだ。世界で進む変化と18年の見通しについて、英王立国際問題研究所のロビン・ニブレット所長に聞いた。

 ――17年をどう振り返りますか。

 「表面的には恐れていた最悪の事態は起きなかった。フランスの大統領選では極右政党は伸び悩み、改革派のマクロン氏が選出された。だが、世界の不安定さは変わらない。むしろ国家間のパワーバランスにおいて、心理的な面で非常に大きな変化があったと考える」

 ――国家間の心理の変化とは何でしょうか。

 「これまではいかなる独裁国家も、一線を越えれば、米国や多国間の枠組みにより代償を払わされるという心理的圧力があった。だが、米国はトランプ氏の下で明確に民主主義体制のリーダーの役割から後退している」

 「象徴的だったのが、米国第一や国家間の過度の干渉回避を訴えたトランプ氏による国連演説だ。トランプ氏の演説を聞いた独裁色の強い指導者たちは『我々を強く止めるものはもうない』と感じただろう。具体的な結果はまだ見えていないが、全ての国が国際秩序の変化を感じている」

 ――各国の政策にどう影響しますか。

 「米国との関係において、同盟国はより慎重になっている。ドイツのメルケル首相は『米国だけを頼りにできない』と発言。日本や韓国も米国を無条件にあてにできないと感じているだろう」

 「中東政策に見られる分断などトランプ外交は、政権幹部の個人的な思いに基づき、全体感を欠く。方向性が見えないために各国も自国優先の傾向を強めるだろう」

 ――欧州の懸念材料は何でしょうか。

 「18年はマクロン仏大統領にとって正念場になる。親EUを掲げる同氏が経済再建の道筋を描くことができなければ、政権基盤が揺らぐだけでなく、欧州統合の機運も弱まる。連立協議が難航するメルケル氏は再選が決まったとしても、当面は欧州統合をどれだけ進めるか様子見になる」

 「一方、中東欧では反EUを掲げる政党が人気だが、英国のEU離脱に続く動きには発展しないと考える。中東欧は地政学的にもEUから離れられないからだ。3月のイタリア総選挙で大衆迎合政党がどれだけ躍進するかが試金石だ」

 ――英国のEU離脱交渉の行方は。

 「交渉が進むにつれ、強硬離脱派の間にも徐々に現実路線を求める傾向が強まっている。EU側は英国にとって厳しい姿勢を打ち出しているが、(見た目を意識した)『劇場』的な要素が強い。交渉の長期化は英・EU双方にとって得策ではなく、おさまるところに落ち着くだろう。英国内にメイ首相の代わりがおらず、離脱交渉は同氏が導く」

 ――3月にはロシアの大統領選挙があります。

 「プーチン大統領が大勝すれば、経済政策を大きく見直す可能性がある。政権を安定させるためにも、より現代的な経済や社会の仕組みを求める若年層の支持を取り付ける必要があるからだ。例えば、今の中国のように、国のコントロールを残しつつ部分的に市場開放や汚職対策を進めたり、制裁解除のために欧州との関係改善に動いたりすることがありうる」

(聞き手はロンドン=小滝麻理子)

 Robin Niblett 米戦略国際問題研究所(CSIS)を経て英王立国際問題研究所入り。専門は英米の外交政策、米欧関係など。英オックスフォード大卒。



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