「習思想」のめざすもの 党主導の中国流資本主義 2017/10/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「「習思想」のめざすもの 党主導の中国流資本主義」です。





 北京で開催中の中国共産党大会で、習近平総書記(国家主席)の名前を冠した政治思想が党規約に盛り込まれる見通しとなった。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」と社会主義を掲げてはいるが、実態は党がすべてを指導する中国流の資本主義だ。

 習氏が党大会の開幕式で3時間半にわたる演説をしてから一夜明けた19日、地方指導者らが相次いで習氏の思想に言及した。「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想は、中華民族の復興にとって非常に重要だ」。黒竜江省トップの張慶偉・同省党委書記はこう訴えた。

 習氏のいう「社会主義」とは何か。18日の活動報告で習氏は「わが国がいまも、これからも長期にわたって社会主義の初級段階にあるという国情は変わっていない」と語った。

 1949年に成立した中華人民共和国は、はじめから社会主義をめざしたわけではない。遅れた農業国だった当時、まず資本家らの力も借りて工業化を実現しなければ社会主義には進めないと考えたからだ。

 ところが、わずか4年後の53年に、建国の指導者である毛沢東氏は社会主義の道に向かう決断をする。東西冷戦が激しくなるなか、ソ連にならってあらゆる権限を共産党に集中する計画経済にカジを切る必要があると判断したためだ。

 56年には、社会主義への移行が基本的に完成したと宣言した。その後、毛氏が60年代半ばに発動した文化大革命で、中国経済は崩壊の瀬戸際に追い込まれた。

 鄧小平氏が78年に始めた改革開放は、危機的な状況だった経済を立て直すために私企業の活動や格差の拡大を認め、事実上、資本主義に回帰する政策だった。しかし、いちど社会主義になったはずの中国が資本主義に戻れば党の権威に傷がつく。保守派からの反発も強まりかねない。

 そこで、鄧氏が提起したのが習氏も触れた「社会主義の初級段階」という概念だった。工業化が遅れている中国は完全な社会主義にはほど遠い。だから、資本主義の要素も大胆に採り入れて経済を発展させなければならない。共産党の指導さえ徹底していれば、社会主義の道からそれる心配はないという理論だった。

 鄧氏が掲げたややゆとりのある「小康社会」の実現は、目標どおり党創立100年の2021年までに達成するメドがついている。

 習氏は建国100年の49年に「社会主義現代化強国」をめざすとした。それまでに経済、軍事、文化の幅広い分野で世界の頂点に立ち「社会主義の初級段階を終わらせる」と宣言したようにもとれる。

 もちろん、資本主義をやめるわけではない。党の支配を通じて中国の特色ある資本主義を続けるという意味だろう。習氏の最大のねらいは鄧氏が築いた時代に区切りをつけ、自らの時代の到来を宣言することにある。

(北京=高橋哲史)



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