かがくアゴラ がんの親玉起こして退治九州大学生体防御医学研究 所主幹教授中山敬一氏 2018/1/12 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「かがくアゴラ がんの親玉起こして退治九州大学生体防御医学研究所主幹教授中山敬一氏」です。





 毎年100万人が新たにがんと診断される時代になった。がんは抗がん剤などの治療で一時的に消えても、再発や転移を抑えなければ完全に治すことはできない。九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授は、がん細胞の親玉ともいえる「がん幹細胞」を退治することに成功。がん根治に向け、大きな一歩を踏み出した。

 

 抗がん剤はおよそ70年前に使われ始めたが、いまだに年間37万人ががんで亡くなっており、その数は年々増え続けている。なぜ抗がん剤で治らないのか。

 従来の抗がん剤は、細胞分裂を繰り返して増えている細胞のみを殺す。ところが、がん細胞1万個に1個以下の割合で存在するといわれるがん幹細胞は、じっとしていて、いわば冬眠状態にある。抗がん剤でほとんどのがん細胞を死滅できても、冬眠中のがん幹細胞は薬の攻撃をすり抜けて生き延び、やがて再発する。再発したがんの細胞は遺伝子に変異が生じていて、抗がん剤が効かなくなっている。

 そこで眠っているがん幹細胞を早い時期に起こし、抗がん剤で攻撃すればがんが完全に治るのではないかと考えた。そして、がん幹細胞が冬眠するのに欠かせないたんぱく質「Fbxw7」を発見した。このたんぱく質はがん細胞が増えないようにブレーキをかけている。「ブレーキをはずしてがん幹細胞が増えるようになれば、再発を防げるのでは」と仮説を立て、白血病のネズミを使って実験した。

 白血病のネズミにイマチニブという抗がん剤を与えるとがん細胞はほとんど消えるが、抗がん剤を止めるとがんが再発してほとんどのネズミが死んでしまった。一方、このネズミのFbxw7遺伝子を破壊してから抗がん剤を投与すると、がん幹細胞まで死滅して抗がん剤を中止しても再発しなかった。

 現在、Fbxw7が働かないようにする薬の開発を進めている。5年後には新たな抗がん剤の候補を見つけたい。

(西山彰彦)



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