がん社会を診る サプリ大量消費に警鐘 中川 恵一 2014/07/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「がん社会を診る サプリ大量消費に警鐘 中川 恵一」です。





 野菜や果物、大豆、魚などの食材はがんを防ぐ作用がありますが、食の欧米化が進む日本では、その摂取量が年々減少しています。では、サプリメント(栄養補助食品)で補えばよいのでしょうか。実際、厚生労働省が2005年にがん患者3100人を対象に実施した調査では、4割強がサプリメントを使っているという結果が出ています。

 健康志向の高まりを背景に、がん患者に限らず健康食品の利用は広がっています。サプリメントを含む健康食品の市場規模は、2兆円近くに達するとの数字もあります。日本も「サプリメント大国」の米国に匹敵する大量消費国といえるでしょう。

 昨年末、米ジョンズ・ホプキンス大学の医師らが発表した研究が話題となりました。ビタミンやミネラルなどのサプリメントに健康増進効果はなく、十分な栄養を取っている人にはむしろ害になる可能性があるという内容です。

 たとえば、野菜は食道がんなどを予防する効果があります。しかし、緑黄色野菜に多く含まれるベータカロテンをサプリメントとして摂取するとかえって肺がんが増えることが分かっています。

 ピーナツ、アーモンド、クルミなどのナッツ類を多く食べると死亡率が下がるというデータがあります。これも、ナッツ類に多く含まれるビタミンEのサプリメントを取りすぎると、逆に死亡率が上昇します。

 ミネラルの一種であるセレンでも、食事を通して十分にセレンを摂取している人がセレンのサプリメントを摂取すると、悪性度の高い前立腺がんのリスクがかえって上昇することが分かっています。

 健康食品は通常、医薬品と異なり効能や効果を表示することはできませんから、世にいう「抗がん効果」をうたったサプリメントなどナンセンスです。副作用の可能性や高い費用などの問題もあります。とりわけ、特定の成分が過剰になると健康を損なう危険性があることを理解いただきたいと思います。

 そもそも、世界中の巨大製薬会社が抗がん剤開発にしのぎを削っていますが、有効な新薬はめったに得られるものではありません。健康食品ならなおさらです。同じ食品なら、おいしい食事にお金をかけた方がずっと得だと思います。(東京大学病院准教授)

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