こころの健康学 「意識を他に向ける」大切さ 2017/8/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 「意識を他に向ける」大切さ」です。





 学会場にチーンと鈴が鳴る音が響いた。先月開催された日本認知療法・認知行動療法学会のシンポジウムでのことだ。認知行動療法はカウンセリングの一種で、私たちのとっさの判断が問題解決を妨げていることが多いことから、その判断を現実的で適切なものに変えることで悩みが軽くなるように導く。

 そのシンポジストが鈴を鳴らしたのは、あれこれ考えているときに自分の関心を他に向けることで考えすぎないようにすれば、気持ちが軽くなることを聴衆に体験してもらうためだ。

 私たちは問題が起きると解決しようとあれこれ考える。これ自体はけっして悪いことではない。問題解決は、役に立つかどうかの判断を後回しにして、あれこれ考えて解決策をあれこれ並べてみることから始まる。

 しかし、そのときに気をつけないと、過去の失敗をあれこれ思い出して後悔するようになっていることがよくある。思うように手助けしてくれない周囲への不満で頭がいっぱいになることもある。専門的には反すうと呼ぶが、牛が飲み込んだ食べ物を胃から口に戻してかみ直すのを繰り返すように、同じことをあれこれ考えるようになる。

 それだと問題を解決できないだけでなく、つらい気持ちが続くことになる。そうしたとき、あれこれ考えるのをやめて意識を変えることができれば気持ちが楽になるし、問題解決に向けて足を踏み出すことができる。つらくなったとき、チーンという音をきっかけに意識を他に向けてから、もう一度問題に向き合う。その手立ての効果を示すため、シンポジストは鈴を鳴らしたのだ。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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