こころの健康学 マイクロ・フラストレーション 少しガッカリ成長促す 2015/06/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 マイクロ・フラストレーション 少しガッカリ成長促す」です。





 まだ私の子どもが小さかったころのことだ。「お父さんて偉いんだね」と子どもから言われたときに照れてはいけないと、先輩の医師から教わった。

 真面目な人ほど照れてしまって、「そんなことないよ」と否定してしまうが、そうすると子どもはガッカリしてしまう。あまり急激にガッカリさせるのは、子どもの成長を考えると良くないというのだ。

 子どもは父親の中に自分の理想を見ている。尊敬する父親のようになりたいと考えて頑張る。自分が進む方向を示す目標であり、前に進もうとする気持ちを支える存在にもなっているのだ。その思いを急に否定するのは良くない。父親を素晴らしいと判断したのは子どもだ。それを否定すると、子どもの主体的な判断を否定することにもなる。一方、主体性を尊重すれば、子どもは自信を持つようになる。

 その場で否定しなくても、父親の欠点など、子どもが成長してくれば自然に目に入ってくる。もちろんそうなるとガッカリもするが、ガッカリの度合いは少ないので、子どもは父親の素晴らしいところとそうでもないところを冷静に受け入れる。父親が完全ではないとわかれば、子ども自身も無理に頑張りすぎない。等身大の自分を少しずつ受け入れ、成長していける。

 ちょっとだけガッカリする体験は、専門的にはマイクロ・フラストレーションと呼ぶ。父親だけでなく母親と子どもの関係でも起きる。学校の教師と生徒、職場の上司と部下の関係でも同じで、こうしたほどほどの尊敬とちょっとしたガッカリが成長を後押しする。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)

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