こころの健康学 安心できる環境作りを 2018/3/19 本日の 日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のこころ面にある「こころの健康学 安心できる環境作りを」です。





 3月は月別自殺者数が最も多く、厚生労働省は自殺対策強化月間と定めて様々な啓発活動をしている。とくに最近は、若い人たちが自ら命を絶つことが多い。そこで、行政や関係団体は中学や高校でSOSを出す力を伸ばす支援に力を入れている。

 学校に限らず、企業でも、人生経験の乏しい若者は、1人で自分の世界に閉じこもって思い悩み、場合によっては自分を傷つけることになる可能性が高い。人に相談することを恥ずかしいと考えたり、敗北感を抱いたりして、相談できなくなることが少なくない。この現状を考えると、相談する力を育てる活動には大切な意味がある。

 その意義は認めたうえで、あまりSOSを出すことを強調しすぎることには、若干の違和感を覚える。SOSを出せないのは若者の責任だという間違った印象を与えかねないからだ。

 私自身も思春期のころ、思い悩むことが多く、社会を批判的にみるような態度を取り、成績も極端に悪かった。それでも学校を休まなかったのは、一人でいるときよりも、学校にいるときの方が楽しかったからだ。自分の存在を受け入れてくれるという安心感が学校にはあった。悪ふざけをしても受け入れてくれる仲間がいたし、温かく見守ってくれる教師がいた。

 SOSを出す力が極端に不足していても、自分が受け入れてもらえていると感じられれば、もう少し自分なりに頑張ってみようと考えられるようになる。そうした体験から、SOSを出す力を育てることはもちろんだが、SOSを出せなくても安心できる環境を作ることもまた大事だと考えている。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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