こころの健康学 宵越しの銭持たぬ 「他人のため」で幸せ に 2016/12/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 宵越しの銭持たぬ 「他人のため」で幸せに」です。





 今年も残すところ1週間足らずになった。この時期になると、私は「江戸っ子は宵越しの銭は持たぬ」という表現を思い出す。私は田舎育ちで、子どもの頃、江戸っ子というのは気っぷが良いものだと憧れた。ただ私は最近まで「宵越し」を「年越し」と勘違いしていた。だから年の瀬になると思い出すのだ。

イラスト・大塚 いちお

 この言葉の意味には諸説あるようで、江戸時代はお金の預け先がなかったからだとか、火事が多かったから貯めておく方が危険だったからだとか、そもそも貯めるほどの収入がなかったとか、いろいろ書かれている。なかでも私が興味を持ったのは、お金を人のために使えば商売繁盛になる、今でいう経済の活性化をもたらすことを示した言葉だという説だ。

 お金が幸福感に影響するという学説がある。といっても、たくさんお金を得ることで幸せになれるというのではない。

 今年の日本ポジティブサイコロジー医学会で、米国のエリザベス・ダン博士が「幸せなお金の使い方」と題したビデオ講演をした。博士の研究によれば、私たちは自分のためだけにお金を使うときより、家族や友だちのためにお金を使うときの方が、明らかに幸福感が高くなるのだという。

 さらに興味深いことに、他人のためにお金を使うと、血圧が安定するなど体にも良い影響が表れる。それも大金ではなく、遊びに使う程度のお金を家族や友だちとの食事に使うだけで、こうした変化が認められるというのだ。現代の研究成果を江戸っ子は身をもって実証していたのだろうと思い、私は嬉しくなった。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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