こころの健康学 後輩への接し方 「自ら考える」余地残す 2016/04/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 後輩への接し方 「自ら考える」余地残す」です。





 前回紹介した大学体育会空手部での先輩の指導は厳しかった。そうした中で、すでに卒業して社会人になった先輩たちから「何でも簡単に、はい、はい、と言うな」と言われたのがいまでも記憶に残っている。

 体育会は一般に上下関係が厳しいことで知られる。卒業生の前に立つと、現役の学生は反論などとうていできないという気持ちになってしまう。だから、卒業生の指導がわかってもわからなくても、とにかく「はい」と元気よく答えるようになってくる。

 人間関係のパターンに、私が「力の関係」と呼んでいるものがある。強い立場の人の前に立つと、相対する人の態度が弱くなるという人間関係の特徴だ。

 上級生と下級生や、卒業生と現役生のように明らかに立場が違う人間関係では、弱い後輩や現役生は自分の意見を言いにくくなる。

 そうすると先輩の教え方が一方的になってくるし、後輩は受け身になって指導されるだけになりやすい。それでは教わったことが身につかないし、後輩が自分で考えたり工夫したりすることもできなくなる。

 「何でも簡単に、はい、はい、と言うな」という言葉は、一方的に受け身になったり弱い立場になったりしないで、自分が主体的に考え、工夫をするようにという後輩への教えだったのだと、いまさらながらに思う。

 新年度には、学校でも会社でも新人が入ってくる。先輩は、新人が自分で考え成長していける環境を作るために「力の関係」を意識しながら新人に接していってほしい。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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