こころの健康学 思い切った行動で道開く 2017/10/2 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 思い切った行動で道開く」です。





 深い思いのある季節というのが誰にもある。私にとっては9月末がその時期にあたる。30年以上前に留学でアメリカに旅だったのが、9月末だったからだ。ニューヨーク郊外にある留学先のコーネル大学の病院まで車で移動したときに目にした紅葉の美しさは、今でもはっきりとこころに焼き付いている。

イラスト・大塚いちお

 そうはいっても、留学するのはひどく不安だった。急に決まったこともあって、詳しいことはほとんど何も決めないまま、まず単身で渡米したからだ。留学先ときちんとした契約を交わす余裕もなかった。もともと不安を感じやすい私だが、これから先に何が起こるかわからないという状況は不安なものだ。

 このように先がわからない状況では、どうしてもよくない可能性を考えがちになる。不確実な状況で生き抜くために、よくない可能性を考えて対策を立てないといけないと考えるからだろう。それに私の場合、一応は英語の勉強をしていたといっても、会話できる自信はない。留学先の人たちに受け入れられるのかどうかもよくわからない。

 心理的には、不安には3つの要素が影響すると考えられている。危険を過大評価し、自分の力を過小評価し、さらに周囲からの支援を過小評価すると不安は不必要に強くなる。私は、まさにそのような状態におかれていたのだ。

 私にとって幸いだったのは、留学先の人たちのなかに、私を受け入れてくれる人が出てきたことだった。ほどなくして家族が来てくれたことも助けになった。思い切って行動すれば道が開けるということを、私が身をもって感じられる体験だった。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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