こころの健康学 楽しい出来事書きとめる 長続きしない幸福感 2015/11/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 楽しい出来事書きとめる 長続きしない幸福感」です。





 街頭で年末ジャンボ宝くじののぼりが目に入る季節になった。私も夢を見たいと宝くじを購入するが、これまで最低金額しか当たったことがない。残念な気持ちになりながら、宝くじが当たっても精神的な幸福感は長続きしないと自分に言い聞かせて納得している。

 これまでの研究で、宝くじに当たるなどの単発的なよい出来事は、一時的に気持ちが高揚しても、何カ月か過ぎると元に戻ってしまうことがわかっている。ポジティブ感情は、いくらそれが強くても長くは続かない。こうしたことから私は、気持ちが落ち込んでいる人に、よい体験は質よりも量が大事なのだと話すようにしている。

 落ち込んでいるときは、一気に気持ちが晴れればどんなにかよいだろうと考えて行動する。しかし、そんなによいことがいつも起きるわけではない。気持ちが一時的に楽になっても、すぐに再び沈み込んでしまう。その結果、結局何をやっても同じだと考えて、さらに落ち込むことになる。

 これに対し、少し気持ちが楽になったり明るくなったりする体験を短期間で繰り返していると、気持ちが前向きになってくる。ただ、ちょっとした体験はすぐに記憶から消えてしまう。気持ちが沈み込んでいるときはとくにそうなりやすい。私たちが出来事を振り返るとき、そのときの気持ちに支配されてしまうからだ。

 そんなときは、いくらかでも気持ちが楽になったことや楽しく感じたこと、やりがいを感じたことを書きとめておくとよい。もちろんこうした方法は、落ち込んでない人がこころの元気を維持するのにも役立つ。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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