こころの健康学 気持ちの制御を手助け 認知療法 2015/07/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 気持ちの制御を手助け 認知療法」です。





 7月中旬、日本認知療法学会と日本うつ病学会が協力して東京で学術総会を開いた。認知療法がうつ病の治療法として始まったことを考えると感慨深いものがある。認知療法を始めたのは米国の精神科医のアーロン・ベックだ。うつ病の臨床研究をしているときに、患者が否定的な考え方に支配されていることに気づいた。

 精神的に落ち込んだ人は、自分や周囲との関係について、そして将来について悲観的に考えている。自分は何もできないダメな人間だと考え、周囲も自分を重荷だと思っているだろうと考える。将来についても、何も良いことがないだろうと悲観的に考える。こうした考えをベックは、否定的認知の3兆候と名づけた。

 認知というのは物事を受け取り判断するこころの情報処理のプロセスだ。よく現れているのが、いろいろな出来事を体験したときに瞬間的に頭に浮かぶ考えだ。その考えに目を向けることで気持ちをコントロールする力を高める手助けをするのが認知療法だ。

 今から考えると当たり前のようだが、発表された当時はほとんど無視されていた。ベックは辛抱強く説明し、実証的な研究を積み重ねて、ようやく1990年代に米国で受け入れられるようになった。遅れること約20年、日本でも注目されるようになってきた。

 学術総会では、認知療法を併用すると薬の量が減らせたり、企業や学校、地域のメンタルヘルスに役立ったりという発表もあった。自分が大事だと考えたことを追求し続けるベックが生み出した成果が、日本でも着実に実を結びつつある。(認知行動療法研修開発センター 

大野裕)



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