こころの健康学 浪人生活 自信のなさ 逆に役立つ 2017/1/1 5 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 浪人生活 自信のなさ 逆に役立つ」です。





 今年の成人式が終わった。成人式のニュースを見るたびに思い出すのだが、私は成人式を経験していない。中学時代から下宿生活で出身地の愛媛県を離れており、物理的に参加できなかった。それに心理的にも、成人式を祝おうという気持ちになどまったくなれなかった。大学浪人をしていたからだ。

 浪人というのは根無し草のような存在だ。一応予備校に通ってはいたものの、正式には所属している組織がない。私たちは、どこかに所属することで自分の存在を確認しているところがある。それがまったくできないというのは心細いものだ。浪人生活の間、自分が何者か、若い私には確認するすべがなかった。

 それに浪人をしていると、先がまったく見えない。1年目はまだ、次の年には合格できるだろうという希望を持つことができた。しかし2年目になり、3年目になると、一体自分が今後どのようになっていくのか、まったく見えなくなる。この先いくら頑張っても大学に進むことはできないのではないかと考えて、こころの中が文字通り暗くなっていくのを感じていた。

 そうしたなかでも頑張れたのは、環境的にチャレンジが許されたことも大きいが、意外と自信のなさが役に立ったように思う。自分の力に自信がもてないために、ここで諦めたらすべてが終わってしまうという恐怖感がわいてきて、とにかく全力を尽くすしかないと考えていた。

 先がないように思えても、諦めなければ変わってくる部分があるということを、そのとき身をもって体験することができた。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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