こころの健康学 精神的な不調 考えて判断する力奪う 2015/06/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 精神的な不調 考えて判断する力奪う」です。





 7月中旬に東京で日本うつ病学会が開催される。その市民公開講座で音無美紀子さんに講演をお願いすることになった。音無さんは、乳がんをきっかけにうつ病になったことをカミングアウトしている。

 音無さんは、うつ病のときにはまったく頭が働かなくなっていたという。例えば、スーパーマーケットに行って買い物かごを持って店内をひと回りして気づいたら、かごの中には何も入っていなかったこともあったそうだ。店内をまわりながら何を買うか考えて判断するこころの力がなくなってしまっていたのだ。

 精神的に不調になると、これほどまでに考える力が奪われてしまうのだ。だが本人が気づけていないことが多い。気づくだけの判断力までも低下しているからだ。それだけでなく、自分で目をふさいでいるところもある。仕事が思うようにはかどらず自信がなくなってくると、できないことをできないと受け入れられなくなるのも同じだ。

 やっかいなことに、頭がいつものように働いていないことがまわりの人にはわからない。頭だけでなく、体もいつものようにキビキビと動かないので、まわりの人の目には怠けているように映ることさえある。

 だからまわりの人は励ましてしまうのだが、励まされても考える力が落ちているのだからどうすることもできない。できない自分がみじめに思えて、ますます自信がなくなっていく。

 こうしたときには、本人もまわりの人も、できないことを受け入れ立ち止まる勇気と、そこから焦らずに少しずつ進んでいく勇気を持つことが大切だ。

(認知行動療法研修開発センター 

大野裕)



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