こころの健康学 自分貫く「棒」は何か考える 2018/1/8 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 自分貫く「棒」は何か考える」です。





 年が改まった。それぞれの人がそれぞれの思いで新年を迎えたことだろう。しかし、年が変わったからといって自分が変わるわけではない。まわりの環境も同じように続いていく。

イラスト・大塚いちお

 私が好きな「去年今年貫く棒の如きもの」という高浜虚子の俳句がある。新年になっても変わりなく続く自然の原理を力強く表現した句だといわれている。しかし、それでも私などは、新年を迎えると、自分が少し変われたような感覚になれる。

 自分がいくらかでも変われたような気持ちになれるのは、変わらない自分を同時に感じているからだろう。本来の自分をしっかり持てていれば、さらに新しいものにチャレンジしながら変わっていける。逆に、本来の自分が揺らげば、先に進んでいくことはできない。

 30年以上前の米国留学時に、いくらかそのような感覚になった。名門といわれる大学だったが、まわりの人は日本の精神医学のことをほとんど知らず、関心もなかった。心理的な意味でアメリカ第一主義の専門家に囲まれて、一体自分がなぜこんなところに飛び込んだのか、この先どうなるのかと、不安になったのを思い出す。

 そうした心理状態では新しいことにチャレンジできず、自分の世界に閉じこもりがちになった。何とか抜け出すまでに1年近くかかった。それは家族をはじめ周囲の支えがあったからではあるが、少し格好良くいうと、精神科医としての自分の立ち位置を忘れなかったことも影響していた。

 新年に、自分の「棒の如きもの」が何か、少し考えてみてもよいだろう。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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