こころの健康学 自然との触れあい 本来の自分にリセット 2016/05/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「」です。





 今年の大型連休は、取り方によっては長い休みにできた人も多かったようだ。休暇中にどのような過ごし方をするかはこころの健康にとっても大事だ。

 最近、休みのときに仲間と一緒に農作業をしているうつ病の人たちがいると聞いた。東京の大手企業に勤務している人たちだが、毎日の仕事に追われているなかで、そうした休みの日に体験する土の感触がこころを安らげるのだという。はだしで土の中に入り、田植えをしたり種まきをしたりすると、自分という感覚が戻ってくるのだという。

 朝早くから夜遅くまで毎日の仕事に追われていると、自分を振り返る時間がなくなる。満員電車に揺られて職場に行き、ビルの中で仕事をして、また混んだ電車で帰宅する。家族と話をする時間も満足にとれない。いつの間にか本来の自分を見失ってしまう。

 多くの場合は本人も意識しないうちに、仕事用の外向けの顔になり、考え方も仕事中心に偏ってくる。こころの内面が置き去りにされたまま、外向けの顔が、いかにも自分であるかのように感じられてくる。

 精神分析にフォールス・セルフ(偽りの自己)とトゥルー・セルフ(真の自己)という表現がある。仕事中心の生活をしていると周囲にあわせた偽りの自己だけが肥大し、精神的な不調の要因にもなる。

 そうしたときに自然に身を置くと五感が刺激され、本来の自分を取り戻すきっかけになる。うつ病などの精神疾患の治療に役立つだけでなく、毎日を忙しく過ごしている私たちのこころの健康にも役に立つ。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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