こころの健康学 若者による自殺対策 無理に話さなくていい 2016/04/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の日曜に考える面にある「こころの健康学 若者による自殺対策 無理に話さなくていい」です。





 私が協力している新宿区の自殺対策の担当者が交代になると連絡を受けた。熱心な担当者だっただけに残念な思いがしたが、この時期、人事異動はやむを得ないことなのだろう。

 その担当者らと昨年取り組んだテーマのひとつに若者対策がある。都市部では若い人が自ら命を絶つことが増え、死因のトップにもなっている。対策を考えようと、若者を中心にした検討チームが発足した。

 この検討会での体験は新鮮だった。いま考えれば当たり前のことだが、私や自治体の職員が考える対応策と、若者が考える対応策がかなり違っていた。私たちが提案するアイデアでは若者の心はつかめないと、何度もだめ出しを受けた。そうした議論を通してできあがったのが、「一人で悩んでいるあなたへ」という二つ折りのリーフレットだ。

 表紙には「何を話しても大丈夫」とか「話すだけで、少し楽になれた」といったメッセージが書かれている。一人で閉じこもって悩んでいる若者へのメッセージだ。一方で「無理に話さなくてもよい雰囲気に救われた」という言葉も載っている。私たちは若者に、相談をするように無理強いしがちだ。何でも口にして相談しなければならないというプレッシャーを感じさせすぎるのも問題なのだ。

 リーフレットには、自ら命を絶ちたいと考えるほど悩み、それを乗り越えた若者の体験が載っている。悩みを乗り越えた同世代の若者の存在や工夫を知ることが先に進むエネルギーになればと考えてのことだ。若者が中心になって作っただけに、とても良いものができたと私は考えている。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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