こころの健康学 言葉使わず伝わる気持ち 2017/10/16 本日 の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 言葉使わず伝わる気持ち」です。





 留学中、英語が苦手だったおかげで私が学べたことのひとつは、言葉に頼らないコミュニケーション力だ。専門的には非言語的コミュニケーションと呼ばれたりするが、私は言葉を通した意思の伝達ではなく、表情や姿勢など言葉を介さない意思の伝達に頼るしかなかった。

 一対一の会話だとお互いに配慮し合うので何とか話が通じても、何人かの人間が集団で話すときにはそれぞれが自由に話すためについていけなくなることが度々だった。そうしたときには、少なくともみんなが笑ったときに間髪入れずに笑うようにしていた。

 言葉を使わなくても交流できる活動にも、積極的に参加した。私が所属していた病棟のスタッフは、週に1回、仕事が終わると体育館でバスケットボールをしていた。楽しみながら練習試合をするのだが、私は体を動かすのが好きだったこともあって、バスケットボールの集まりにいつも参加した。

 マンハッタンのビルのように背の高いスタッフとバスケットボールをするのは大変だが、試合中はまとまった会話をしなくてすむ。かけ声だけでコミュニケーションができるし、スタッフの足の間を縫って走り回るのは楽しかった。そうすると、お互いに楽しい気持ちが伝わり合って、人間関係がとても良くなってくる。

 そうすると、普段の生活で、少しくらいぎこちない英語でも、みんなと自然に打ち解けて話せるようになってくる。こうした体験を通して、私は、言葉にならない部分が会話のなかでずいぶん大きな役割を果たしていることに気づけた。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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