こころの健康学 認められることが大事 2017/7/3 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 認められることが大事」です。





 5月末、米国精神医学会の学術総会にあわせて米国西海岸に行った。会場の近くに住む知人の精神科医、アレン・フランセス博士の家に滞在したこともあって、学会に出席しただけではわからない新しい情報をいろいろと知ることができた。

イラスト・大塚 いちお

 フランセス博士は世界的に知られた精神科医で、現役を退いた今でもツイッターやブログで自分の考えを発信し続けている。しばらく前に出版された本『〈正常〉を救え』(講談社)では、精神疾患の治療を必要とする人が治療を受けられていない一方で、精神疾患の過剰診断のために不必要に投薬されている人が少なくないことに警鐘を鳴らし、世界的に注目された。また私たち一人ひとりが持つこころの力に目を向け、それを生かすことの大切さも強調している。

 私がフランセス博士と出会ったのは、私が米国留学をしたときだった。英語がさほど得意でないこともあって苦しんでいた私に、「あんなに良い車を作っている国から来たんだから、きっと頑張れるよ」と声をかけてくれたのがきっかけだった。1980年代半ばで、日本の車が米国で注目されるようになってきた時期だった。

 考えてみれば、私が車を作っていたわけではないので、私がほめられることでもないように思えるが、日本人としての自分の存在を認めてもらえたことがうれしかった。

 どのような形であっても、人から認められることがこころの支えになることを、身をもって体験することができた。それが、その後精神科医として私が患者さんに接するときの姿勢に影響していることは間違いない。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



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