こころの健康学 認知症への効用を期待 認知行動療法 2015/10/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の健康面にある「こころの健康学 認知症への効用を期待 認知行動療法」です。





 先日、ある会合に呼ばれて認知行動療法の話をした。この会合は「お福の会」といい、認知症の人や家族を中心にいろいろな立場の人たちが、当事者の視点から認知症についての理解を深め、認知症に関する施策を提案していこうと議論を続けている。

 その席で認知行動療法の話をしたと書くと、違和感を覚える人がいるかもしれない。認知行動療法は、うつや不安などのために心理的苦痛を感じたり生活に支障が出てきたりしている人の治療法として知られているからだ。

 記憶力や判断能力が落ちている認知症の人に、認知行動療法が使えるのだろうか。自分の認知の働きを振り返り見つめ直すことは、認知機能の落ちた認知症の人にはできないとこれまで考えられてきた。

 しかし、こうした考えには誤解がある。認知症と診断されたからといって、認知機能がまったく落ちてしまっているとは限らない。認知症の早期発見は大切だが、少し認知機能が落ちているだけでも認知症と診断される可能性がある。

 認知機能の低下は、うつや不安で精神的に不調になっている人でも、多かれ少なかれ存在する。だからこそ、日常生活での判断や考えが現実から乖離(かいり)し、悲観的になりすぎるのだ。原因が異なる認知症でも、現実から乖離した考えに陥りやすく、それが心理的な苦痛を引き起こす。

 そうしたときには、心理的苦痛を感じたときに立ち止まって自分の考えを振り返り、より現実的な考え方や判断を取り戻す認知行動療法のアプローチが役立つと私は考えている。

(認知行動療法研修開発センター 大野裕)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です