このNEWS 米・台湾、高官の相互往来解禁 断交40年 、転換期迎える 2018/3/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「このNEWS 米・台湾、高官の相互往来解禁 断交40年、転換期迎える 」です。





 トランプ米大統領が自国と台湾との間であらゆるレベルの高官の相互往来を解禁する「台湾旅行法」に署名し、同法が成立した。台湾を不可分の領土とみなす中国の影響で制限されてきた米台関係が、大きく進展する可能性がでてきた。台湾の蔡英文政権が歓迎する一方、中国は激しく反発しており、南シナ海問題や通商摩擦に続いて米中関係を一段の緊張に導くリスクをはらむ。

台湾の蔡総統(右)は会合でアレックス・ウォン米国務次官補代理(左)と同席した(21日、台北市)

 「トランプ氏は対中圧力としての『台湾カード』を切った」。台湾師範大学の范世平教授は、16日に成立した台湾旅行法をこう分析する。

 同法案は2月末までに米上下院を通過。仮に大統領が署名しなくても3月16日を過ぎれば自動的に成立することになっていた。署名を避けて中国への配慮を示す手もあった。

 にもかかわらずトランプ氏は期限ギリギリであえて署名に踏み切った。直前の13日には国際協調を重視するティラーソン国務長官を更迭し、後任に強硬派のポンペオ中央情報局(CIA)長官を指名。「新たな米外交チームが早速、対中強硬姿勢を打ち出した」(范氏)

 おりしも中国では国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が開かれ、習近平(シー・ジンピン)国家主席の再選が決まる敏感なタイミングだった。中国外務省の陸慷報道局長は「(中国大陸と台湾が一つの国に属するという)『一つの中国』の原則に著しく反し、断固反対する」との談話を発表。習氏自身も20日の演説で「祖国分裂のたくらみはすべて失敗する」と強い警告を発した。

 旅行法は高官の往来を認めるだけで法的拘束力はないが、意味合いは重い。米国は1979年に台湾と断交し、中国と国交を樹立。その際、中国が掲げる「一つの中国」原則を認識するとの立場をとり、台湾とは首脳はもとより外交や国防分野の高官の往来を一貫して控えてきた。

 ただ近年の米国は、経済・軍事両面で台頭する中国との対立場面が目立つ。昨年まとめた国家安全保障戦略では、ロシアと共に中国を「修正主義勢力」と名指しで批判した。

 だからこそ中国の海洋進出のルートにある台湾は地政学的な重要性が高まる。昨年12月に成立した「国防権限法」には、国防総省に対して米台の軍艦船の相互往来を検討するよう求める内容を盛り込んだ。米台は断交以来の転換期を迎えつつある。

 米台高官の往来はどこまで進むのか。台湾では早くも期待が高まる。

 「旅行法の成立に感謝する」。蔡総統は21日、在台湾の米国の経済団体が台北で開いた会合でこう述べた。視線の先にはアレックス・ウォン米国務次官補代理の姿があった。ウォン氏の訪台は旅行法とは無関係だったが、台湾メディアはトランプ政権のアジア太平洋戦略について蔡氏と意見交換したと大きく報じた。

 トランプ氏は大統領就任直前の16年末、蔡氏と異例の電話協議に臨み中国が猛反発した経緯がある。台湾では当時、米中間の交渉カードに使われる危うさが懸念されたが、今回は米との接近を歓迎する声が多い。16年5月に発足した蔡政権は中国と対話を模索してきたが、中国からの圧力は強まる一方だったからだ。

 台湾の孤立を狙って外交工作を強め、西アフリカのサントメ・プリンシペや中米パナマが台湾と断交。現在も欧州唯一の友好国バチカンとの国交継続が危ぶまれている。中国を刺激するリスクを伴っても、対米連携を強める必要性は増している。

 「大規模軍事演習に米軍高官を招待する」「米国の対台湾窓口機関が事務所を移転する6月に米高官が訪台するのでは」。旅行法の活用を巡り台湾では様々な観測が飛び交う。北朝鮮や通商問題を巡る米中の攻防下で、トランプ氏が台湾との関係を持ち出して中国に揺さぶりをかけるシナリオは現実味を増している。

(台北=伊原健作)



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