そこが知りたい訪日外国人 どう獲得 J・フロントリテイリング社長 山本良一氏 接客でコト消費もつかむ 2015/10/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「そこが知りたい訪日外国人 どう獲得 J・フロントリテイリング社長 山本良一氏 接客でコト消費もつかむ」です。





 J・フロントリテイリングが大丸心斎橋店(大阪市)の本館建て替えを決めた。国内でもインバウンド(訪日外国人)が急増する地域にある百貨店の旗艦店だ。あわせて隣接する南館を改装してインバウンドに対応した店に刷新する。中国経済の減速などで先行き懸念もあるなか、訪日客消費にどう対応していくのか。山本良一社長に聞いた。

 ――関西でも屈指の集客力を誇るエリアにある店をどうつくり替えますか。

 「心斎橋店は国内の富裕層に支持されてきた。そこへ海外からも多くの顧客が来るようになった。グローバルストアをめざし日本を代表する商業施設にする」

 「南館は訪日客の利用を中心とした商品やサービスをそろえた施設にする。中国人観光客に好まれるラオックスも誘致した。日本の名品や伝統工芸品も集めて接客を充実する」

 ――地元の商店街と協力して百貨店内に共同の免税カウンターを設けます。

 「地域として集客力を高めるにはどうしたら良いかと考えた結果だ。単に店を新しくするだけでは地域間競争には勝てない。地元と一緒に発展するビジネスモデルが必要になる。今までも店の前に空き店舗が出たら当社が借り上げブランド店を誘致してきた」

 ――インバウンド消費は東京に偏っていませんか。

 「当社の推計ではインバウンド消費の地域シェアは東京が55%で大阪は27%。これに札幌、名古屋、京都、博多が続く。主要都市の売上高伸び率は平均で前年比3倍だが、大阪は4倍に達する」

 「当社のなかでは松坂屋静岡店が好調だ。(中国路線が急増した)富士山静岡空港へのアクセスが良い。インバウンド需要は地方でも確実に高まっている」

 ――訪日客の消費行動に変化は出ていますか。

 「スマートフォンで商品の画像を販売員に見せながら、爆発的にまとめ買いをする姿は変わりつつある。買い方や経験にこだわるリピーターが増えてきた」

 「モノだけでなくコト消費に対する関心が高まっている。百貨店で時間をかけて接客してもらうことに満足感を覚えるようだ。例えば食品工場の製造過程の見学と買い物を組み合わせたツアーなどが人気だ。自慢できるような体験を提供していく」

 ――中国の景気減速などインバウンドに頼りすぎる懸念もあります。

 「増えた増えたといっても欧州の都市に比べると日本の水準は低すぎた。百貨店大手の仏ギャラリー・ラファイエットや英ハロッズは、売上高に占める外国人客の割合は50%だ。当社は5.5%にすぎない。まだまだ伸びしろはある」

 やまもと・りょういち 73年(昭48年)明大商卒、大丸(現大丸松坂屋百貨店)入社。03年大丸社長、13年より現職。大丸梅田店の開業に携わるなど店づくりで手腕を発揮した。64歳。

<聞き手から一言>

外商のノウハウ 外国人に生かせ

 富裕層とインバウンド(訪日外国人)消費を追い風に、全国百貨店の売上高は8月まで5カ月連続で前年実績を上回った。百貨店が富裕層を取り込めてきたのは、お得意様を専属で接客する「外商」で優秀な販売員を長年抱えてきたことが大きい。

 日本を何度も訪れる外国人客が増えるなか、収益を拡大するには外国人の固定客化が欠かせない。顧客ごとに異なる好みの接客や情報・サービスの提供など、日本人向けに磨いてきた外商のノウハウを訪日客にも広げられるか。百貨店各社の腕の見せどころでもある。

(豊田健一郎)



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