そこが知りたい 破綻企業立て直しの秘訣は エドウイン会長 大塚丈二氏 意識改革、社内連携を密に 2016/04/10 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「そこが知りたい 破綻企業立て直しの秘訣は エドウイン会長 大塚丈二氏 意識改革、社内連携を密に」です。





 ジーンズ国内最大手のエドウインが伊藤忠商事の子会社として再出発してから間もなく2年が経過する。証券投資の失敗で経営が実質的に破綻。私的整理手続きの一つである事業再生ADR(裁判外の紛争解決手続き)の末に伊藤忠がスポンサーとなり、業績は短期間で急回復し社内の萎縮ムードも払拭された。復活の陣頭指揮を取った大塚丈二会長に破綻企業立て直しの秘訣を聞いた。

 ――伊藤忠傘下となり一気に業績が改善しました。

 「トップに就任する前に幹部60人と話したが、能力や資質の高さを感じた。国内に15ある工場も秒単位の工程管理やロボット導入など効率的で、熟練度の高い人材もそろっていた。事業自体はしっかりしており、社員の不安を取り除くだけでうまく回り出した。資金繰りの問題が解決したことで安心して働ける環境が整い、さらに適切な宣伝広告を打てたため需要を取り戻すことができた

 ――子会社化後に何が変わったのでしょうか。

 「文化だ。以前はオーナー会社という側面が強く、社員には自分で考えることが求められなかった。生産や企画など担当する専門分野では優れた知識や技術を持つが、そこでとまっていた。『新しいエドウインをつくろう』と呼びかけ、この考えをまわりと共有する方向へと意識を変えた。人事評価制度もそうした面を正しく評価できるように近く改める

 「組織ではブランドごとに生産とデザイン、営業の担当者が連携できる形に変えた。メーカーの思いだけに基づく一方通行のものづくりをやめ、マーケットの情報を吸い上げた商品開発を目指している。商品サイクルの端境期に生産するものがなく休んでいた工場も、売り場などとの連携が深まったことで年間を通じて休みなく生産できるようになった」

 ――伊藤忠とどう連携していくのでしょうか。

 「インフラの共用などを考えている。例えば今春に投入したトップス(Tシャツや上着)は伊藤忠の取引工場を活用した。消費者の反応が非常に良い。これまでボトムス(ズボン)ばかりに注力してきたが、消費者はファッション全体の提案を求めている。伊藤忠本社に幹部を送り込み、リーダー研修も実施している」

 ――衣料品の国内市場の伸びは期待できません。

 「国内だけをみていては成長は描けない。昨年は米国に再進出し、専用ブランド『E・N・D』を中心に顧客がつき始めた。中国を含むアジアでは価格帯を見極め、伊藤忠と連携しながら販売を拡大していく。海外の開拓には時間も資金も必要だ。業績が好調な今のうちに次の柱になる事業をつくっておきたい」

 おおつか・じょうじ 81年(昭56年)早大教育卒、伊藤忠商事入社。一貫して繊維畑を歩む。香港や中国の駐在を経て、14年エドウイン社長。16年4月から会長。長野県出身。58歳

〈聞き手から一言〉

復活へ本業集中 モデルケースに

 エドウインは品質の高い製品をつくり続ける技術とノウハウを持ち、社員の能力も高い。実質的な破綻は財テク失敗と不正経理という本業以外に原因があり、それを許した当時の経営陣の責任は重い。見渡せば同様の事態が大企業で散見されるのに気付く。

 本業を研ぎ澄ませて、社員が専念できる体制を整えれば業績は上向く。将来を見据えて、どのような企業に支援を仰ぐかを決めることも重要だ。エドウイン復活の軌跡は、経営再建のモデルケースとして示唆に富んでいる。

(岩戸寿)



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