そこが知りたい 280円牛丼適正価格は? 松屋フーズ社長 緑川 源治氏 350円…でも上げられず 2013/11/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「そこが知りたい 280円牛丼適正価格は? 松屋フーズ社長 緑川 源治氏 350円…でも上げられず」です。





 価格競争と原材料高の影響で稼ぐ力が低下している牛丼大手。「松屋」を展開する業界3位の松屋フーズは2013年4~9月期に増収増益を達成した。来春の消費増税で低価格外食の一段の苦戦も懸念されるなか、緑川源治社長に生き残り策を聞いた。

 ――ゼンショーホールディングス(HD)や吉野家HDが大幅減益のなか、増収増益を確保した。

 「人件費や光熱費の上昇もあり、店舗運営コストは上がっている。4~9月期は出店を絞り込みなんとか増益となったが、既存店売上高は10月まで19カ月連続で前年割れ。今期の出店が少ない分、来期は既存店売上高を上げていかないと減収になる恐れがある」

 ――原料価格に変化は。

 「米国産牛肉は2月に輸入規制が緩和され、当社も全量を米国産に切り替えた。輸入量は増えたが、米国では飼料高の影響で牛の生産量が減少。円安もあり、仕入れ価格は想定より下がっていない。コメの価格はやや下がったが、これは東日本大震災などの影響で昨年までが高過ぎただけだ」

 ――原料高が続く中、適正価格をどう見ますか。

 「原価が高すぎるのではなく、売価が安すぎる。主力商品の牛丼(松屋の商品名は『牛めし』)並盛りは280円だと原価率は約40%。外食企業の原価率は30%台前半が一般的といわれており、こんな高コストの商品はありえない。仮に350円にすれば、原価率は30%台前半に下がり、適正水準になると考える」

 ――適正水準まで値段を上げたらどうなる。

 「定食も販売しており、競合と比べ牛丼の販売比率は低い。それでも牛丼を上げたら、顧客は価格の高い定食には移らず、他社に流れるだろう。牛丼の価格を上げる勇気はない」

 ――来年4月に消費増税を控え、価格はどうする。

 「増税分は適正に転嫁したいが、10円単位の食券券売機なので1円単位での値上げは事実上できない。牛丼並盛りは290円に上げる方向で検討している。メニュー全体で値上げと据え置きを組み合わせ、増税の3%分を転嫁する方針だ。原料高の転嫁など増税以外の値上げをするなら、便乗ととらえられないよう増税時とは別にやるべきだ」

 ――外食チェーンの中には来年4月を待たずに値上げする企業も出てきた。

 「赤字ではないので、増税前に値上げをするつもりはない。これまで通りコスト削減などを通じて、利益を上げていくなかで(原料高の影響などを)吸収していく。増税で消費者の財布のひもが締まれば、消費全体にはあまり良い影響が出ないかもしれないが、牛丼業界には安さが見直される好機になる。客足が戻ってくることを期待している」

 1978年日大商卒、80年松屋フーズ入社。88年取締役。2009年から現職。茨城県出身、59歳。

〈聞き手から一言〉増税分転嫁も採算改善遠く

 デフレを象徴する商品として値下げ競争を演じてきた牛丼。吉野家が今年4月に並盛りを280円に値下げし、大手3社の価格が並んだ。もっとも原料高や円安の影響で、これ以上の値下げは各社とも難しいのが実情だ。

 価格を動かす次の節目が来年4月の消費増税。券売機を使う松屋フーズは10円上げる方向だ。ゼンショーHDの小川賢太郎社長も「インフレに対応した価格政策を進める」と価格の引き上げを示唆する。ただ5000店に近づく国内の牛丼市場の競争は厳しく、採算性を高める300円台への値上げは容易ではない。

(横山雄太郎)

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