もたつく景気(4) 再燃する増税延期論 改革こそ成長導く 2016/04/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合1面にある「もたつく景気(4) 再燃する増税延期論 改革こそ成長導く」です。





 「失望した」。10兆円超の資産を運用する米運用会社GMOのポートフォリオ・マネジャー、トーマス・ローズ氏は3月の訪日が期待外れに終わったという。日銀がマイナス金利政策を導入しても脱デフレの道筋は見えず、資本効率向上に向けた企業の意識も低い――。日本株への投資判断は「中立」に据え置いた。

 「2016年の日経平均株価は2万円を超える」という強気の見方はすっかり影を潜めた。世界的な市場動揺と無縁でないのは確かだが、アベノミクスへの期待も薄れつつある。期待を先取りしてきた外国人投資家の資金流入が細り、15年度の日本株の売越額は28年ぶりの大きさとなった。

株安と円高警戒

 「暴力的な円高だ」。日本商工会議所の三村明夫会頭は不安を募らせている。円相場は昨年末の1ドル=120円台から107円台まで一気に13円近く上昇。市場では円高を誘う真偽不明の噂も飛び交い、ヘッジファンドなど投機筋の円買いは過去最大規模に迫る。

 株安・円高で経営者の心理が冷え込めば、賃金や設備投資を押し上げるアベノミクスの好循環にブレーキがかかる。

 「場合によっては必要な措置をとる」(麻生太郎財務相)

 「必要な場合は追加的な金融緩和措置を講じる」(黒田東彦日銀総裁)

 政府・日銀は「臨戦態勢」を強調してみせるが、円売り介入や追加緩和の可能性と効果を市場は疑問視する。マイナス金利政策は金融機関の収益悪化につながり、「かえって株安を招く可能性もある」(東短リサーチの加藤出氏)。

 市場の関心は消費増税の先送りや経済対策に向かう。5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前後にも安倍晋三首相が増税先送りを表明するとの見方がくすぶる。

 増税先送りの効果はどの程度か。野村証券の木下智夫氏によると増税した場合の実質国内総生産(GDP)は16年度0.9%増、17年度は0.1%減。見送った場合は16年度0.6%増、17年度は0.8%増となる。

 増税をすれば個人消費などに駆け込み需要が発生し、その反動で17年度はマイナス成長に陥る。ただ増税幅は前回の3%よりも小さく、食料品などに軽減税率を導入するため、実質GDPの落ち込みは14年度の1.0%減と比べて小幅になる。

消費心理悪化も

 一方、先送りならマイナス成長は避けられるが、待機児童対策など社会保障の財源が確保できなくなる恐れがある。働く人の不安が高まり、むしろ財布のひもが締まりかねない。財政健全化目標の達成時期も遠のく。

 増税先送り論が再燃する背景には、日本経済の潜在成長率が0%台に低迷していることがある。外的なショックに弱い体質は変わらず、財政出動で目先の成長率を持ち上げる政策論に終始する。

 労働市場や税制などの改革を通じて経済の地力を高めることが必要になる。規制も大胆に見直して民間の潜在力を引き出していく。道半ばの成長戦略を着実に実行することが何よりの経済対策になる。

(景気動向研究班)

=おわり



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