やさしい経済学 個を活かす組織をつくる(6)仕事の分担や 役割を明確に同志社大学教授 太田肇 2017/7/25 本日の日本経済 新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「やさしい経済学 個を活かす組織をつくる(6)仕事の分担や役割を明確に同志社大学教授 太田肇」です。





 今回は少し角度を変え、働く立場から日本の組織を考えてみましょう。「働き方改革」は安倍内閣の最重要課題の一つであり、その成否に国民の関心が集まっています。改革を進めるうえで大きな壁になっているのが、日本特有の集団主義的な執務体制です。

 現状の問題点として第一に挙げられるのが、主要国の中でも突出した長時間労働です。いろいろな原因がありますが、仕事の分担や個人の役割が不明確なことが大きな要因です。

 そのため調整や意思決定の会議や打ち合わせに多くの時間を取られます。また仕事の進捗が同僚など他人に依存しているので計画を立てにくく、早く帰るために要領よく片付けようという意欲も起きません。さらに上司や同僚が残っていたら先に帰りにくいという雰囲気もあります。有給休暇を残す理由として半数近くの人が「職場の他の人に迷惑をかける」「周囲の人が取らないので取りにくい」を挙げています(労働政策研究・研修機構の2010年調査)。

 女性の管理職登用も重要な政策目標ですが、昇進すると時間的・精神的・肉体的な負担が増えるという理由から尻込みする人が少なくありません。昇進したら残業が増えるだけでなく、諸々の仕事が付随するため人間関係のストレスも大きくなるからです。

 仕事の分担や個人の役割を明確にすれば、自分のペースで仕事がこなせるようになり、効率的に片付けて早く帰ろうというモチベーションも生まれます。管理職の役割が限定されれば、昇進しても余分な仕事を抱え込まなくてもすむでしょう。フレックスタイムや在宅勤務、モバイルワークといった新しい勤務形態も利用しやすくなります。

 もちろん、それで残業が増える人も出てくるでしょう。しかし、業務量の偏りや能力不足といった問題点も見えてくるので対策が打てるようになります。またセクハラやパワハラは上司に対して部下が過度に依存することに起因するケースが多い現実を考えれば、分担や役割を明確にして部下に必要な権限を与えることが、働きやすい職場をつくるうえでどれだけ大切か理解できるでしょう。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です