ゆがむ地方財政(上) 税収「偏在」自治体の不信配分巡り奪い合 い 2017/6/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「ゆがむ地方財政(上) 税収「偏在」自治体の不信配分巡り奪い合い」です。





 地方自治体の財政を巡り、国と地方が相互に不信を募らせている。自治体に税収を配る仕組みが不透明だと地方から不満が出ている上に、国が自治体に対して「お金をため込んでいる」と批判し始めたためだ。返礼品で寄付を集める「ふるさと納税」は、自治体が税収を奪い合うという不毛な現実に直面する。地方財政の望ましい姿を考え直すべき時期にきている。

外国人消費も自治体には悩みの種(高島屋新宿店)

ネット化も一因

 「ネット時代になり、どこで消費しているかが非常にあいまいだ」。総務省の「地方消費税に関する検討会」で、論争が繰り広げられている。

 消費税は国が徴収し、税率8%のうち1.7%分を自治体の財源に回す。「消費地に帰属する」という原則のもと、商業統計や人口などのデータをもとに都道府県ごとの配分額を割り出す。ネット通販の普及が、この方式に疑問を投げかけた。

 統計上の売上高は通販会社の本社がある場所に計上され、統計に基づくとネット通販の有力事業者がいる自治体に税収が集まってしまう。総務省が今年度から配分の判断材料からカタログ通販やネット販売を外す措置をとり、「やはりおかしいのでは」との疑いが解けない。

 急増する訪日外国人も問題を複雑にする。土産物などの免税品は消費税がかからない。だが商業統計上は免税品の売り上げが加味され、販売額が多い都市部に消費税が手厚く回る。

寄付でズレ加速

 「買い物は県内で!」。奈良県のゆるキャラ「せんとくん」は街頭で訴える。奈良県は大阪府や京都府で家電や衣料品を買う「越県消費」で、すべて人口で配分した場合に比べて70億円近い税収が奪われているとする。地方ほど、住民のお金を都市に吸い上げられているかの感覚は強い。

 三重県四日市市は4月、ふるさと納税に関する非常事態宣言を出した。同市は寄付が少なく、他の自治体に寄付した住民の減税で約1億3千万円の「持ち出し」。地元の高校生などが利用する四日市あすなろう鉄道の年間運行費にあたる額を逃した。しかし、対策本部で練る案は「返礼メニューの拡充」。結局は返礼品競争に終始する。

 ふるさと納税には税収の偏在を是正する狙いもある。しかし、過剰な返礼品をもとに寄付金を集めるのは、結局は自治体同士で税収を奪い合っているにすぎない。過剰な是正は大都市の不満も生む。

 政府は消費税の10%への引き上げ時に、法人住民税を再配分して自治体間の格差を是正する制度の導入を決めた。だが、関西学院大学の小西砂千夫教授は「もう一段の偏在是正については十分に議論がされていない」と指摘する。不毛な税収の奪い合いをする前に、奪い合いが正しいかどうかの議論がいる。

(逸見純也)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です