ゆるみとゆがみ 日本経済の明と暗(1) 株高で億万長者6割増 2018/06/12 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「ゆるみとゆがみ 日本経済の明と暗(1) 株高で億万長者6割増」です。





「異次元緩和がなければ1億円にはまだ手は届かなかった」。千葉市に住む個人投資家の山田貴幸さん(仮名、65)は、自らの資産のポートフォリオを眺め、喜びをかみしめる。2017年秋、日経平均株価がバブル崩壊後の最高値へ向けて上昇するのに伴い、株式や株式投信で運用していた山田さんの金融資産も1億円を超えた。

山田さんの運用益は08年のリーマン・ショックで吹き飛び、その後の世界経済の低迷で運用難を極めた。潮目が変わったのは13年。4月に

(画像:ショールームに並ぶ海外の高級車(東京都千代田区))

日銀が黒田東彦総裁のもとで始めた異次元ともいわれる大規模な金融緩和だ。

日銀は大量の国債を金融機関から買い上げ、世の中に出回るお金は約360兆円増えた。一部は株式や不動産などに向かい、資産価格を押し上げた。日銀は年6兆円のペースで上場投資信託(ETF)の買い入れもしている。

株や土地などの資産を持つ人ほどその恩恵を得ており、多数の「緩和長者」を生み出した。

国税庁によると16年の年間所得1億円超の人は2万500人で、5年前に比べて6割増えた。そのうち1万1千人は、株式の売却や配当などが主たる収入だった人で、5年前に比べて倍増した。億万どころか100億円超の所得を得た人の数も、5年前の4人から17人に増えた。

「香港までプライベートジェット機をチャーターしてくれ」。今年2月、富裕層向け執事サービスの日本バトラー&コンシェルジュ(東京・中央)の新井直之社長の携帯に企業オーナーの顧客から依頼が飛び込んだ。ファーストクラスでは飽きたらず、満足のいく旅のために個人で飛行機をチャーターする。この企業オーナーは4泊5日の香港旅行に約2000万円費やした。「富裕層のお金の使い方の質が変わった」(新井社長)

ランボルギーニにベントレー。2000万円からという超高級車を集めたコーンズ・モータース(東京・港)の展示場がホテルニューオータニ(東京・千代田)の一角にお目見えした。

5月に開かれた英国車の中古車販売会には60組の顧客が足を運び、2日で6台が売れた。なぜあえて中古車かといえば、納車に時間のかかる新車と違い「今すぐほしい」という富裕層の要望を満たせるからだ。

若い株長者も多く、2ドアタイプなども人気だ。業界団体のまとめではこの5年で国内でのロールス・ロイスの販売台数は2.2倍、ランボルギーニは2.5倍、ベントレーは1.8倍と異次元緩和経済は「新バブル族」と呼べる富裕層を生み出した。彼らの視線はいつまでこの活況が続くのかに向かっている。

株価が堅調に推移し、雇用環境がバブル期以来の人手不足の水準になりながらも日銀は金融緩和をやめようとしない。緩んだマネーに経済の一部は過度とも思えるほど潤い、一部にはゆがみをもたらす。現場の明暗を追う。



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