アジアインフラ大競争(上)解き放て潜在成長力 「8兆ドル需要」課題は質 2015/08/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「アジアインフラ大競争(上)解き放て潜在成長力 「8兆ドル需要」課題は質」です。

要するに、どこの国も官がインフラ投資すると、とてつもない無駄を生むということです。しかし、インフラは官が主導ですので、官を民が育て、国の将来に資する投資判断をさせる必要があるということです。





 インド洋に臨むスリランカ南西部の町ゴール。17世紀のオランダ統治時代に建設され、世界遺産にも登録された城塞都市が今、時ならぬ活況に沸く。高級百貨店が進出し、英大手銀行のHSBCが支店を設けた。

通行する自動車がほとんどない第2ペナン大橋(マレーシア北部・ペナン州)

 寂れた港町を変えたのは4年前に開通した同国初の高速道路だ。100キロメートル離れた最大都市コロンボからの道のりが4時間から1時間へ縮まり、観光客が訪れるようになった。ゴールをけん引役に、昨年同国を訪れた外国人観光客は150万人と4年間で8割増加。味をしめた政府は中部の仏教遺跡群につなぐ高速道路の計画を進める。

 減速するアジア景気だが、世界経済の「成長エンジン」の地位は揺るがない。持続的成長に不可欠なのが交通や電力などの社会インフラの整備。経済発展の土台づくりはそれ自体が巨大なビジネスチャンスともなる。

「カネはあるが」

 日米が最大出資者のアジア開発銀行(ADB)は2010~20年のアジアのインフラ需要が8兆ドル(約1千兆円)と試算する。ところが「世界の開発銀行はその5%も手当てできない」(インドゥ・ブーシャン戦略・政策局長)。中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立前から脚光を浴びるのは、資金不足を埋める存在と期待されるからだ。

 ビジネスの最前線で見える情景はやや異なる。

 4月上旬、東南アジアのインフラ整備をテーマに金融関係者がシンガポールに集まった。参加者から上がったのは「カネはある。足りないのは投融資できる案件の方だ」という声だった。

 日米欧などの年金基金残高は36兆ドルを超す。世界の金融緩和を背景に少しでも有利な投資先を探すが、アジアのインフラにはうまく流れ込まない。国際協力銀行(JBIC)の町田史隆シンガポール首席駐在員は「新興国の政府が現場の実態を把握しておらず、受け入れ体制も欠くからだ」と指摘する。

 マレーシア北部のペナン州。ペナン島とマレー半島部を隔てる海峡に、全長24キロと東南アジアで最も長い橋がかかる。片側2車線だが、行き交う車の姿はほとんどない。

不便すぎる大橋

 橋の名前は「第2ペナン大橋」。10キロほど北に1985年に完成した「第1大橋」の渋滞緩和を狙い、昨年3月に開通した。中央政府が主導して45億リンギ(約1320億円)を投じたが、通行量は目標の1割強にとどまる。橋の入り口が中心部から遠いためで、地元の運輸業者は「不便すぎて使えない」とこぼす。

 6月、タイのバンコクは未明の大雨で多くの店舗や住宅が浸水し、通勤の足が止まって企業活動が一時マヒした。1千万人都市に見合わない貧弱な排水能力のせいだ。

 11年の大洪水を教訓に、当時のインラック政権は大規模な治水事業を約束した。ダムや放水路の建設に3500億バーツ(約1兆2千億円)の予算を確保し、入札で発注先も決めた。ところが汚職の疑いが浮上し、計画は凍結されたままだ。

 アジアのインフラ不足は古くて新しい課題だ。波及効果が大きく、透明性の高い事業計画で、選球眼の厳しいリスクマネーをいかに呼び込むか。世界人口の6割、44億人の潜在成長力を解き放つには、インフラの「量」だけでなく「質」への視点が欠かせない。



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