アジア開銀、制度疲労も50周年の総会閉幕 加盟国「民間資 金活用を」 2017/5/9 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「アジア開銀、制度疲労も50周年の総会閉幕 加盟国「民間資金活用を」」です。





 日米主導のアジア開発銀行(ADB)の総会が7日、閉幕した。ADBはアジアの成長を後押ししてきたインフラ金融の盟主だが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に脅かされつつある。50周年の今回の総会では各国から「内なる変化」を求める声が続出した。真の敵はAIIBでなく、ADB自身の制度疲労かもしれない。

ADB総会が閉幕し記者会見する中尾総裁(7日、横浜市)

 「民間からの財源動員にもっと力を入れてほしい」(ドイツ代表団)。「国の財政に対して過度な借り入れはもうできない」(インド代表団)。総会ではADBに対する要求の声が相次いだ。

 アジアで年1.7兆ドル(約190兆円)のインフラ需要がありながら、資金の手当てが全く追いつかないのが加盟国の現状だ。財政赤字の拡大が続くベトナムは、国会が定めた国の借金の上限に近づく。「多くの国で政府支出を増やせなくなった」(ADB関係者)。徴税体制が弱く、適切な税収が確保できない。

 ADBは過去50年、主に政府に融資することでインフラ開発を支援してきた。だが、各国が巨額の開発資金を抱えきれなくなっており、このモデルが限界に達しつつある。ADBは2014年に民間マネーを政府部門に橋渡しする専門部署を設けたが、まだまだニーズに応え切れていない。

 加盟国の不満は意思決定の遅さにもある。インドのジャイトリー財務相は総会で「案件審査のスピードを上げてほしい」と注文をつけた。3千人超のADB職員の約75%がマニラの本部で働いており、アジア・太平洋の各国のニーズにきめ細かく応じるのは至難の業。ADBは現地事務所の権限を強化し、平均2年かかる審査時間を半年縮める改革を始めたが「まだ3合目ぐらい」(ADB関係者)だ。

 「AIIBが投資しかしない『専門医』とすれば、ADBは日常的に患者の病状の相談に応じる『家庭医』」(ADB幹部)。ADBがアジアの貧困脱却に貢献した過去50年の評価は高い。一方、組織が大きくなり、加盟国の目線に合わせた改革がしづらくなってきたとの指摘がある。「今後のアジアの秩序がどうなるかは、5年が勝負」(ADB幹部)。改革を進める猶予期間は長くない。

(飛田臨太郎、遠藤淳)



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