アジアVIEW ベトナム親日派幹部失脚 日本のインフラ受注 影響も 2017/5/11 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のアジアBiz面にある「アジアVIEW ベトナム親日派幹部失脚 日本のインフラ受注影響も」です。





 ベトナム最大の経済都市、ホーチミン市の書記、ディン・ラ・タン氏(56)が7日更迭された。国営企業ペトロベトナムグループの会長時代に違法な手続きで9000億ドン(約45億円)の巨額損失を出した責任を問われた。ベトナム政府内で有数の親日家で日本との連携に熱心だったタン氏の失脚は日本のインフラ受注、企業誘致に悪影響を及ぼす恐れがある。

 ベトナム共産党は7日開いた中央委員会でタン氏を政治局員の地位から更迭することを決めた。約180人の中央委員の90%が賛同した。政治局員はベトナム共産党約500万人の頂点に立つわずか19人の共産党最高幹部だ。政治局員でないとホーチミン市の書記にはとどまれないため、同市書記の地位も失った。後任の書記にはグエン・ティエン・ニャン祖国戦線議長が就いた。

 タン氏は前首相グエン・タン・ズン氏の側近とされ、前政権では交通運輸相を務めた。2016年1月の党大会でズン氏が失脚したものの、タン氏は政治局員に昇格し、出世コースのホーチミン市書記に選ばれた。

 16年2月にホーチミン市の書記に就任してからは野心的な改革を断行したことで知られる。汚職が多い行政手続きに関するホットラインを初めて設け、進出する外資企業、ベトナムの市民から苦情を受け付けた。違法建築排除を徹底し、五つ星の高級ホテルの階段まで取り壊したことがある。

 タン氏のもう一つの側面は日本とのつながりだ。ベトナム日本友好協会の会長を務め、日本大使館、国際協力機構(JICA)、日本企業とのパイプが太い。インフラ開発では初期コストよりも「技術と維持管理も含めたトータルコストを重視していた」(商社幹部)ため、タン氏は日本との窓口になっていた。

 洪水と不法滞在者の温床となるどぶ川をなくそうと、日本の官民と組んで再開発プロジェクトも推進していた。良きパートナーだったタン氏を失ったことは日本企業にとっても大きな損失だ。

 表向きはペトロベトナム時代の巨額損失が更迭の理由だが、北部の党幹部からの不評が本当の原因ではといわれている。「ホーチミン市は(中央政府からの)自主独立を欲している」という発言が容認できなかったようだ。16年にグエン・フー・チョン共産党書記長(73)が続投し、再び集団指導体制が強まったベトナムは、人事でも経済でも先祖返りすることになるのだろうか。(T)



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