アジアVIEW 中国、逃げる外資に焦り まず隠蔽体質の改善を 2016/03/24 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のアジアBiz面にある「アジアVIEW 中国、逃げる外資に焦り まず隠蔽体質の改善を」です。





 中国の全国人民代表大会(全人代)が16日、北京の人民大会堂で閉幕した。印象に残ったのは、李克強首相が政府活動報告で次の公約を強調した瞬間だった。「より公平で透明、予測可能な投資環境を整え、中国は外資にとって始終、魅力的な投資先であり続ける」

中国の習近平指導部は外資の投資減少に懸念を強め始めた(北京)

 例年同様のお題目を繰り返す李氏だ。だが今年は「始終」の文言を加えた点が異例だった。これまでも、そしてこれからも、海外企業を魅了する「外資大国」であり続ける。そう強調したのだ。

 世界が中国を見る目は厳しい。株価急落や突然の人民元切り下げなどで、この1年で中国は世界経済を振り回す「悪役」との印象がすっかり定着してしまった。外資大手の間では中国事業の縮小や撤退の動きも急だ。

 李氏の言葉にはこうした「中国離れ」への危機感がにじむ。だがやはり、そう簡単には信じられない理由がある。

 中国商務省が国内外メディアを集めて毎月開く定例記者会見。2月の会見で配られた資料を見て目を疑った。世界・国別の対中投資の統計数字が、従来のドルベースから人民元ベースに突然変わっていたからだ。理由を聞いてあぜんとするほかなかった。「今年からの新規定だ。人民元は国際化する。統計も同じだ」

 対中投資は外資が中国企業へ出資したり、工場や店舗を新設したりする際の投資額を示す。中国にどれだけ投資マネーが流れ込んでいるかを示す重要な経済指標だ。連続性が大事なだけに商務省も一貫して比較しやすいドルベースの数字を公表してきたが「今後はドルを使わない」という。

 対中投資の実績をドルと元で比べると、その真意が読める。商務省が2月に公表した1月の世界からの対中投資額は前年同月比3.2%増の882億5千万元(約1兆5400億円)。だが1月末のレートを使って単純計算すると、ドル換算では世界からの対中投資額は約3%も減ってしまう。元安が進んだためだ。

 どうも最近の中国は「不都合な真実」を隠すことに躍起だ。15年には日本からの対中投資が32億1千万ドル(約3640億円)と前年比25%も減少したが商務省はこの数字も当初公表しなかった。

 産業の高度化、環境対策、少子高齢化……。多くの課題に直面する中国にとって、これからも外資の助力は必要なはず。外資の「中国離れ」を止めるには、まずは国を挙げた隠蔽体質の改善が先決だろう。



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