アセットマネジメント新世紀 独立系の躍進(下) 規模拡大、理想と相反 2018/05/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「アセットマネジメント新世紀 独立系の躍進(下) 規模拡大、理想と相反」です。





「外国株の投資を始めました」――。3月、老舗の独立系運用会社のさわかみ投信に「異変」が生じた。1999年のスタートから日本株に特化してきた運用方針を見直し、株価が一時急落した米オラクル株を組み入れたのだ。

海外に投資対象を広げるのはレオス・キャピタルワークスも同様だ。いまや外国株の組み入れ比率は全体の約9%に達し、組み入れ銘柄上位にアマゾン・ドット・コムやマイクロソフトが並ぶ。藤野英人社長は「今後は米国に拠点を置き、本格的な銘柄調査も検討する」と語る。

独立系の真骨頂は丁寧な企業分析を通じ、国内の中小型株の埋もれた価値を発見することににあった。それが個人の共感を呼んできたはずだが、なぜ今海外市場なのか。

市場には「運用額が膨らみ、中小型株が中心の投資に限界が来ている」(国内運用大手)との指摘がある。一般に投信は投資対象に応じた「適正規模」があるとされる。中小型株投信などで運用残高が1000億円程度になると、いったん募集を停止するのはこのためだ。

さわかみ投信の純資産残高はこの5年ほど3000億円前後で推移してきた。「急落時に安く仕込む」という戦略を貫いてきたが、国内株の底上げで割安株に投資する機会は一段と限られる。この結果、海外に投資対象を広げているとの見方がある。

「逸脱」の感も

米国株相場の上昇で、今のところ運用成績は好調だ。ただ、人材が限られる独立系は、米国企業の調査で世界の運用大手にかなわない。すでに個人投資家には低コストのETF(上場投資信託)で海外に分散投資する方法もある。日本株と思って購入した個人が、独立系投信の海外投資を「逸脱ではないか」と感じる例も少なくはない。

個別にみると、運用成績にもばらつきがある。独立系5社の主力投信について設定来の基準価格の推移を比べると、ひふみ投信は同期間の日経平均の2倍を超える高い伸び率を示した。一方で鎌倉投信の「結い2101」は市場平均より低調だった。

鎌倉投信の鎌田恭幸社長は「社会のためになる会社にだけ投資する。短期的な収益は追求しない」という哲学を貫いてきた。コモンズ投信が厳選した30銘柄で運用する「コモンズ30ファンド」も、銘柄入れ替えをほとんどしないという長期保有を信条に掲げる。

もっとも、理念重視が良好な運用成績を約束するわけではない。独立系投信の主要顧客である現役層は積み立て投資が主流だ。複利効果が重要なこの投資スタイルでは、運用成績によって長期の資産形成に大きな差が出てくる。

独立系投信の躍進はまだ話題先行の域を出ない。長期資金の預け先として個人の信認を得るには、安定した投資収益を上げ続ける「直球」で勝負していくしかない。

嶋田有が担当しました。



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