アベノミクスで増えぬ新規開業 融資の二重保全が壁 2017/8/8 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の金融面にある「アベノミクスで増えぬ新規開業 融資の二重保全が壁」です。





 アベノミクス始動から4年半。安倍晋三政権が当初から課題としていたベンチャー育成が思うように進まない。原因の一つが「石橋をたたいてわたる」銀行の融資姿勢にあることが金融庁の調査でわかった。

 「開業率10%台を目指す」。2013年6月、第2次安倍政権発足後、初めてまとめた日本産業再興プランに盛り込まれた政権公約。これに対し、直近の15年度は開業率5.2%で公約水準にはほど遠い。

 新規開業の壁の一つになっているのが「二重保全」を求める銀行の融資姿勢にあるとの見方がある。不動産などの担保をとった上で万一に備え信用保証協会などの保証も求めていることが起業家の重荷になっている。

 実は政府はこの問題にすでに手を打っている。13年末に銀行界と共同で掲げた「経営者保証ガイドライン(指針)」だ。

 企業が「法人・個人の区分経理」「財務基盤の強化」「適時適切な情報開示」の3原則を受け入れれば、銀行は信用保証の解除を検討するとの内容が盛り込まれている。

 ただ運用は一向に進まない。指針に後ろ向きな銀行の説明が十分でなく、企業の間に指針が周知されなかったのが背景だ。金融庁が6月に銀行に聞いたところ、無保証融資の割合は13.5%。指針導入前に比べ数%しか改善しなかった計算だ。

 過剰な保証は円滑な事業承継も阻む。団塊世代の引退時期に入り、承継にかかる手間とコストを理由に廃業する経営者は増えている。例えば、子供などに事業を譲る「事業承継」の場合、新旧経営者から保証を取らなかった割合は約7%(1824件)。逆に新旧両者から保証を取ったのは約48%(11488件)だった。金融庁は銀行に対し保証に過度に依存しないよう「何度要請したかわからない」(幹部)が改善されないという。

 銀行にも事情がある。保証にこだわる理由の一つが“金融緩和疲れ”。昨年2月に始まったマイナス金利は収益を直撃し「金利が低いんだから、債権の保全くらいしっかりしなければ」(ある地銀の支店幹部)。現場ではこうした意識が強い。

 日銀が大量のお金を市中に回しても、企業の事業意欲に火を付けなければ、経済の好循環は生まれない。金融庁は今後1年、改めて聞き取り調査を進め、保証に依存する原因を究明する考え。対話のなかでお金の循環を良くする妙策を見いだせるか。不良債権時代の融資姿勢が残る金融機関の意識改革も必要だ。(玉木淳、鈴木大祐)



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