アベノミクス最後の機会政治部長 内山清行 2017/8/4 本日の日本 経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「アベノミクス最後の機会政治部長 内山清行」です。





 政界は一寸先は闇というが「安倍1強」がここまでもろいとは予想できなかった。森友、加計両学園や防衛省・自衛隊の問題、そして自民党議員の相次ぐスキャンダル――。強権的で説明不足が目立つ政権の体質も嫌気されている。内閣改造後も、世論の厳しい視線はやまないだろう。

 首相が猛省すべきなのはその通りだ。一連の問題の解明や再発防止に努めなくてはいけない。ただ、指摘される疑惑に首相自身が関わっていないことを前提にいえば、首相に挽回のチャンスが与えられてしかるべきだ、とも思う。

 第1に、もったいない。つい5年前まで、日本は毎年のように首相がかわり、海外の失笑をかっていた。安定政権を築き、トランプ米大統領ら各国の首脳と渡りあう首相は、国際社会からも評価されている。

 第2に、政争にかまける余裕がない。景気回復を支えた金融緩和には限界がみえる。危機的な財政を考えれば財政出動には頼れない。北朝鮮の核・ミサイル問題は脅威の度を増している。

 第3に、代わりがいない。直近の内閣支持率は日本経済新聞社の調査で39%。現政権で最低圏に下がったが「まだ30%台」とみることもできる。野党第1党の民進党の支持率はわずか6%だ。

 ただし、条件がある。今度こそ「脱デフレ」を最優先課題にすえて実践することだ。

 政権をとった2012年末の衆院選から首相は、選挙のたびに経済重視を掲げてきた。アベノミクスがその具体策だ。衆院で与党3分の2と、参院で自民単独過半数の議席を得た。「安倍1強」を生んだ民意は、デフレ脱却への期待にほかならない。

 ところが、肝心のアベノミクスは金融緩和と財政出動によりかかり、成長戦略は中途半端なまま。一方で安保法制やいわゆる「共謀罪」法は強引ともいえる手法で成立させた。このままでは有権者が与えた「政治資産」をちゃんと使っていない、と批判されても仕方ない。

 首相が20年施行を目指す改憲論議も副作用が心配だ。いずれ国民が向き合う課題ではあるが、急げば護憲派は激しく抵抗する。「改憲派がやることは何もかもだめ」と経済政策にも悪影響を与えかねない。

 潜在成長率を引き上げ、少子高齢化社会に備えた社会保障を整備し、財政健全化を実現する――。ノーベル賞級の学者が考えても処方箋が定まらないのがデフレ病だ。生半可な覚悟で勝てるはずがない。

 衆院議員の任期である18年12月までには必ず解散・総選挙がある。それに先立つ同年9月には首相が3選を目指す自民党総裁選が控える。野党は対決姿勢を強め、与党は痛みを伴う改革の先送りに傾く懸念が増す。

 政治環境を考えれば、首相に与えられた機会はこれが最後かもしれない。支持率低下は「ポスト安倍」への注目度を高め、野党に生気を与える。結果をだせばそれでよし。できないなら「もったいない」などと言っている場合でなくなる。代わりを探すしかない。



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