イノベーションとルール(2)未知との遭遇、その時「お上が決めて」 脱却を 2017/8/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「イノベーションとルール(2)未知との遭遇、その時「お上が決めて」脱却を」です。





 「ライドシェアにここまでうまく対処できている国はない」。6月下旬、全国ハイヤー・タクシー連合会(東京・千代田)の理事会で川鍋一朗会長が自信を見せた。「対処」とは自家用車に客を有料で乗せるライドシェアの阻止のことだ。

ICO協議会はネットを使う新たな資金調達のルールづくりに知恵を絞る(東京都千代田区)

 一方、対価を得ない長距離ライドシェアを手がけるnotteco(東京・千代田)の東祐太朗社長は言う。「日本は周回遅れどころではない」

日本まず法整備

 ルールが無かった新たなサービスを始めたいとしよう。どうするか。

 まずは試して、法整備はその後。米ウーバーテクノロジーズはこうして約80カ国・600都市以上にサービスを広げてきた。シンガポールは一般人がライドシェアの運転手になれる免許を7月に導入。マレーシアでも同月にライドシェアを合法化する法律が成立した。

 日本は自家用車での有償運送を原則認めない。未知のビジネスと遭遇したら、まず法整備を議論する。根底には法律に対する考えの違いがある。日本は細かい規則を定める成文法の国。英米は細則は定めず、何かあれば裁判で判断する判例法を使う。「一般に英米型の方が、明確に合法と書かれていない事業にも企業は踏み出しやすい」と中町昭人弁護士は話す。

 国内の民泊では、仲介事業を始めると民泊法成立後に表明した楽天でさえ後発組だ。法整備を待つ間に、米エアビーアンドビーは国内5万3千室に年間500万人が泊まる規模に成長している。

 「フィンテックについて教えていただけませんか」。一昨年春、ベンチャー企業のマネーフォワード(東京・港)に一通のメールが届いた。差出人は金融庁。同社の幹部は「お上の力でも対応しきれないことが増えている」と感じたという。

 企業の側にも「決められなければ動けない」という体質はないか。今年5月末に全面施行された改正個人情報保護法。個人を特定できないよう加工すればビッグデータの活用に道が開ける。だが企業の担当者からは「法律だけではどう加工すれば適法か分からない」と二の足を踏む声が出る。

走りながら創造

 変化の芽もある。

 「走りながらルールを創造しよう」。8月、仮想通貨取引所大手のテックビューロ(大阪市)が呼びかけ、「ICO協議会」が発足した。ベンチャーや金融機関などが集まり、道なき道を走る。

 念頭に置くのは「新規仮想通貨公開(ICO)」と呼ぶ資金調達の仕組み。世界で広がるがルールは曖昧だ。「安全な事業モデルとルール作りを我々が進めたい」とテックビューロの朝山貴生社長は意気込む。

 「新技術を想定しない制度だと試行錯誤の機会がなくデータが取れない。データがなければ制度を変えられないニワトリ・タマゴ状態」。安倍晋三首相は5月の未来投資会議で、規制を一時凍結する「サンドボックス制度」を提唱した。試行錯誤を経て最適な制度をつくる。ブロックチェーンを登記に使うなどの案を検討中だ。英米流の「まずやろう」は浸透するか。



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