インド、半年ぶり利下げ 減速リスクに先手 6.75から6.50%へ 投資・消費を下支え 2016/04/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「インド、半年ぶり利下げ 減速リスクに先手 6.75から6.50%へ 投資・消費を下支え」です。





 【ムンバイ=堀田隆文】インド準備銀行(中央銀行)は5日開いた政策決定会合で政策金利(レポ金利)を6.75%から6.50%に引き下げた。2015年1月から金融緩和姿勢に転じ、利下げは半年ぶり。7%台の成長率を維持し堅調さが目立つインド経済だが、企業投資の鈍さなど減速リスクも抱える。準備銀は今後も緩和姿勢を続け、成長を下支えする意向を明確にした。

インド準備銀行本店で記者会見するラジャン総裁(5日、ムンバイ)

 準備銀は昨年1~6月に計3回、それぞれ0.25%の利下げをした。同9月に0.5%の大幅利下げに踏み切った後は金利を据え置いていた。

 今回の0.25%の利下げは大方の市場予想通りだった。インドの国内総生産(GDP)成長率は15年10~12月期まで3四半期連続で7%台を確保。中国を上回り、堅調な成長を維持する。だが、投資、消費動向をみると懸念も少なくない。

 「設備稼働率が上がらず、民間企業の投資意欲は弱い。利下げで企業活動を活性化する」。5日、政策決定会合後にムンバイ市内で開いた記者会見でラジャン総裁は追加利下げの狙いを説明した。

 インドの民間企業の投資は、モディ政権の経済改革の遅れを背景に伸び悩む。民間調査機関のインド経済モニタリングセンター(CMIE)によると、16年3月期にインド民間企業が公表した新規投資計画の総額は15年3月期に比べ19%減った。鉱工業生産指数は直近1月まで3カ月連続で前年割れが続く。企業の投資動向を映す資本財の動きが低調なためだ。

 堅調な都市部に比べ、農村の消費回復も鈍い。農村開拓が進んでいる日用品最大手ヒンドゥスタン・ユニリーバ(英蘭系ユニリーバ子会社)の四半期業績は増収率がじりじり下がり、15年1~3月の8%台から同10~12月期は3%台となった。

 追加利下げの前提となったのは低水準にとどまる物価上昇率だ。「消費者物価指数(CPI)上昇率は16年度にかけ、5%前後にとどまる」(ラジャン総裁)。準備銀は17年3月にCPIの前年同月比上昇率を5%に抑える目標で、原油価格の下落を背景にこの目標は達成できる見通しだ。

 インド政府の財政規律を堅持する方針も財政支出拡大によるインフレ懸念を縮小させた。政府は2月末、16年度にGDPに対する財政赤字の割合を3.5%とし、15年度の3.9%から圧縮する16年度予算案を発表した。政府による財政赤字の削減ペースが鈍るとの観測を退けた。

 ラジャン総裁は5日、今後の政策姿勢について「金融緩和姿勢を継続する。さらなる緩和余地があれば反応する」と明言した。「前年度はむらがあった景気の回復ペースは今年度は徐々に力強くなる」との認識も示した。

 新興国の資本流出につながる米国の利上げ動向は懸念要素だが、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策については「金利を据え置きながら、(金融引き締めに慎重な)『ハト派』の指針を打ち出している」という見方。欧州などが一段の金融緩和に踏み込むなか、この時期に追加利下げを進めたい意向も透ける。

 成長路線の維持はインドで高まる政治不安を解消するためにも必要だ。14年5月発足のインドのモディ政権はもうすぐ満2年を迎えるが、国内多数派のヒンズー教徒を重視する政策姿勢に対し少数派のイスラム教徒などから不満が出る。デモも頻発しており、景気下支えに向けた金融政策の役割は大きい。



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