インド2年連続7%成長 昨年度7.6% 堅調な消費がけん引 中国を大幅に上回る 2016/06/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「インド2年連続7%成長 昨年度7.6% 堅調な消費がけん引 中国を大幅に上回る」です。





 【ムンバイ=堀田隆文】インド経済が2年連続で7%台の成長となった。2015年度の実質国内総生産(GDP)成長率は7.6%で14年度の7.2%から加速し、中国を大幅に上回った。企業投資は低調なものの個人消費が経済をけん引。16年度はさらに成長率が高まるとの見方が多い。他の新興国の成長が鈍化するなか、外需依存が低く自国の内需で成長できるインドの堅調さが際立つ。

物価上昇率の鈍化が消費を下支えする(ムンバイのショッピングモール)

 インド政府が31日発表した15年度(15年4月~16年3月)のGDP成長率は政府の予想通り、前の年度比7.6%。中国の15年の成長率は6.9%だった。インドの16年1~3月期の前年同期比成長率は7.9%で4四半期連続の7%台。中国の同1~3月期は6.7%と7年ぶりの低水準だった。多くの東南アジア諸国も振るわず、インドの好調さが目立つ。

 GDPの6割弱を占める個人消費が成長を支える。15年度の個人消費の伸びは7.4%で14年度の6.2%から上昇した。15年度の新車販売台数は8%増。乗用車最大手のスズキ子会社マルチ・スズキは15年度に過去最高益を更新した。米調査会社IDCによるとスマートフォン(スマホ)の15年出荷台数は14年比29%増え、年1億台を超えた。

 消費を下支えするのは物価上昇率の鈍化だ。原油安を背景に直近の消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率は14年前半の7~8%台に対し、4~5%台で推移。物価沈静を受け、インド準備銀行(中央銀行)は15年1月から計5回利下げした。

 世界経済減速の影響がないわけではない。月間輸出額は今年4月まで17カ月連続で前年同月を下回る。だが、インドは慢性的な輸入超過で成長率に対する輸出の寄与度は小さい。

 インド国内では8~9%の成長率が「高成長」とする声も多い。この高成長に向け、投資復調が課題だ。16年1~3月のGDPでは、官民設備投資の前年同期比増減率が1.9%減となり8四半期ぶりに減少した。GDPにおける官民設備投資の割合は、9%成長を達成した07年度の34%に対し足元は4ポイント以上低い。

 海外企業からの投資は増えているものの問題はインド企業。民間調査会社の集計によると、15年度にインド企業が新たに公表した設備投資計画は約4.5兆ルピー(約7.4兆円)で14年度比で18%減った。「9%成長期」の半分程度にとどまる。

 エコノミストのスニル・クマール・シンハ氏はインド企業の投資が鈍い背景を「製造業は過剰設備を抱え、インフラ関連企業は債務負担が大きい」と説明。インドの銀行部門は4兆ルピーを超える不良債権を抱えており、新規投資に向けた資金が企業に回りにくい。

 インドのジャイトリー財務相は16年度の成長率が「15年度より高くなる」と強調。期待が高いのは雨だ。モンスーン期(6~9月)の降水量は農作物の収穫に直結し、人口の7割が住む農村経済を左右。今年の降水量は平年以上で農村消費も拡大するとの見方が多い。

 モディ政権の政策運営にも明るい兆しが見える。5月中旬、政権が改革の目玉と位置づける「破産・倒産法」が成立し、直後に地方選で躍進。実績を背景に改革のスピードを上げられれば企業や消費者の心理も上向く。

 インド準備銀は中長期の成長に向け、銀行に対し17年3月までに不良債権の処理にめどをつけるよう求めている。短期ではこれが企業活動の停滞を招くリスクはある。

 経済の課題とされてきた財政赤字の負担は軽減しており、12年度に5%近くに達した経常赤字のGDPに対する割合も1%台に収まっている。経済が安定しているこの時期に構造改革をどこまで進められるかが、今後の高成長シナリオを左右しそうだ。



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