エアビー、解約3万件超も 2018/06/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「エアビー、解約3万件超も」です。





民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーが、許認可などがない国内の民泊施設で15日以降の予約を取り消した影響が広がっている。訪日客や家主は突然のキャンセルに戸惑う。観光庁がエアビーに聞き取ったところ、6月15日以降の予約は30日までで4万件、年末までで15万件。全てが取り消されるわけではないが月内だけでも3万件超の解約の恐れがある。

(画像:エアビーに掲載されていた国内施設には年間で延べ580万人が泊まっている)

「キャンセルの通知が届いてパニックです。どうすればいいのでしょうか」。東京都世田谷区の自宅をエアビーに掲載し、民泊施設として貸している家主の女性(36)は7日夜、宿泊予約していたメキシコ人女性からメッセージを受け取った。

女性は夫、子どもと大阪を観光中。その後に東京に移動し、16日から1週間の日程で世田谷に泊まるはずだった。予約は1カ月前からしていた。家主の女性のもとには7日午後8時すぎ、エアビーから電子メールが届いていた。「チェックイン予定の既存の予約が一律にキャンセルされます」と書かれていて驚いた。

ことの発端は15日に控える住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行を前に、観光庁が仲介業者に出した通知だ。

15日以降は旅館業法の「簡易宿所」、国家戦略特区といった現行ルールの許認可、または新法に基づく届け出のない施設は仲介サイトに載せられなくなる。

観光庁は先立つ1日、新法での届け出予定などがないのに載っている施設の予約取り消しなどを通知で求めた。許認可がない施設も仲介してきたエアビーは通知の直後に動いた。まず現行の許認可や新法での届け出で発行される番号の入力がないなど違法の疑いがある施設の掲載をやめた。

今春時点で約6万2千件あった国内施設は足元で約1万3800件と8割減った。月内だけで4万件ある予約のうち、8割に影響が出るとすれば、3万件超が解約になる可能性がある。

エアビーは当初、予約まで取り消す考えは示していなかった。ところが7日夜には15~19日分の予約をキャンセルし、19日以降の予約も10日前に自動でキャンセルされるとホームページ上に掲載。家主にも通知した。

予約を取り消すことになる顧客には宿泊代のほか、代わりに取った宿の代金との差額分、航空券の変更手数料などを補償する。おわびの意味を込めて宿泊料と同額相当のクーポンも別に贈る。これらに総額11億円を拠出すると表明した。利用者へのこうした補償は同社としては世界初としている。

エアビーで代わりの宿が見つからない場合に備え、JTBの訪日客向け予約サイトも紹介する。電話や電子メールの相談窓口も設けた。

世田谷の女性はこれまで許認可を得ずに営業してきたが、食事や文化体験など手厚いもてなしで人気の宿になっていた。15日以降はルールに沿って運営するため、民泊新法に基づく届け出を準備中だ。だが、番号の発行には時間がかかるため、エアビーで表示されなくなり、キャンセルに追い込まれた。

「子ども連れの旅行者を路頭に迷わせるわけにはいかない。日本の信用問題にも関わる」と考えた家主の女性は、すでに新法での届け出が受理された近くの実家にメキシコ人家族を泊める。

同じく新法で届け出手続き中の運営施設が掲載されなくなった北海道の男性(36)のもとには訪日客から「楽しみにしていた。なんとか泊まらせてくれないか」と悲痛な声が寄せられたが、わびながら断った。「観光庁もエアビーも影響の大きさをどこまで理解していたのか。もっと早くから周知を徹底し、猶予期間も設けるべきだった」と憤る。

エアビーに掲載された国内施設に泊まった訪日客は2018年2月までの1年間で延べ580万人に達する。エアビーでの予約可能件数が大きく減ったことで宿泊施設の争奪戦が起きている。東京都豊島区で戸建て住宅を民泊用に貸す男性(60)のもとには予約の問い合わせが殺到している。

旅館業法に基づく「簡易宿所」の許可を得ており、現在もエアビーに載っているためだ。「宿が取れない。泊まらせてほしい」と訪日客からの相談が急増しており、既存のホテルや旅館にも顧客が流れる可能性が高い。新法での届け出件数も7日時点で約2千件と低調だ。民泊が低迷し続ければ訪日客数の伸びに水を差しかねない。



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