エアビー「国の判断、理解困難」 観光庁「削除要請、年初から」 2018/06/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「エアビー「国の判断、理解困難」 観光庁「削除要請、年初から」」です。





民泊仲介世界最大手の米エアビーアンドビーが許認可のない民泊施設の15日以降の予約を大量に取り消し、消費者に混乱が広がっている。同社のクリストファー・レヘイン公共政策責任者は12日、日本経済新聞の取材に「既存の予約は有効と考えていた」と述べた。一方、観光庁は事前に対応を要請し、エアビーの対策が不十分だったとの認識を示している。

(画像:インタビューに答える米エアビーアンドビーのレヘイン公共政策責任者(12日、東京都新宿区))

15日施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)で、仲介サイトは新法に基づく届け出や従来ルールの許認可がない民泊は掲載できなくなる。許認可がない民泊も多く載せてきたエアビーは2日にこうした施設の取りやめに着手。春に6万2千件あった掲載施設は1万3800件に激減した。

さらにエアビーは7日、15日以降に入っていた予約を順次取り消すと予約者や家主に通知。キャンセルは月内だけで3万件以上に達するおそれがあり、エアビーは総額11億円の補償策を発表した。

エアビーによる突然のキャンセルは、観光庁が新法での届け出予定などがない施設の予約取り消しなどを仲介各社に求める通知を1日に出したのがきっかけだ。

エアビーで各国政府との交渉を担当するレヘイン氏は「今回の観光庁の判断は理解しがたい」と話した。「日本の観光戦略に反するのではないか。エアビーがあるから日本に来るという訪日客は多い。日本のすばらしさを体験できなくなり第一印象に悪影響を与える」と疑問を呈した。

しかし観光庁は、「許認可や届け出の予定がない物件は新法施行までに掲載を削除したり予約を変更したりするよう年初から繰り返し求めてきた」(幹部)とする。エアビーが新法の施行が近づいても許認可がない物件の掲載や予約を続けていたことで、改めて予約取り消しをなどを求める通知を1日に出した。

エアビーは観光庁によるこうした方針を甘く見ていたもようだ。許認可のない施設の表示をやめた直後は、予約を取り消す考えは示していなかった。レヘイン氏はキャンセルにまで踏み込んだ理由について「既存の予約は有効との許可をもらえると考えていた」と釈明。だが、観光庁の理解は得られなかったという。

突然のキャンセルにより、現在も利用者や家主の間では混乱が続いている。国内を旅行中のメキシコ人女性は1カ月前に東京都内の民泊を予約し、16日から1週間泊まるはずだった。7日夜に取り消しが通知され「パニックになった」。家主の女性は「申し訳ない気持ちでいっぱい」と憤る。

エアビーのレヘイン氏は「ゲストをこうした状況に陥らせてしまったことは心苦しい」と釈明したが、無許可施設の掲載や予約を続けながら、家主や利用者に適切に周知せず混乱を招いたエアビーの責任は免れない。

無許可施設の削除に着手してからも、新規予約が受け付けられなくなると家主に伝えただけで、多くの家主は「既存の予約は有効」と受け止めた。そのうえで7日夜になって突如、強制キャンセルをサイトやメールで一方的に伝えた。札幌市の家主は「早めの周知と猶予期間が必要だった」と指摘する。

一方、日本では自治体ごとに営業できる曜日や地域を条例で定めるなどの「上乗せ規制」が壁になっているとの指摘もある。この点についてレヘイン氏は「様々な都市で条例が実装される段階で、(民泊を解禁しようという)国の方針との違いが見えてきた」と暗に批判した。

民泊という新たな市場で、担い手となる企業と政府の溝が深まったままでは、観光立国に水をさしかねない。利用者の立場に立った議論が必要な時期にさしかかっている。

(大林広樹、杉原淳一)



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