エコノフォーカス マイナス金利、海外中銀に利益 ドル→ 円交換でもうけ 2017/10/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「エコノフォーカス マイナス金利、海外中銀に利益 ドル→円交換でもうけ」です。





 お金を預ける側が金利を支払う「マイナス金利」。日銀が2016年2月に始めた政策によって日銀に当座預金口座を持つ一部の金融機関が重い負担を強いられている。国内で聞こえるのは嘆き節ばかりだが、そのなかでも抜け穴をかいくぐり、しっかり利益を上げている投資家がいた。海外の中央銀行だ。国富が流出するからくりとは。(中村結)

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マイナス金利の影響で国内金融機関の負担は重い(16年7月)

 8月24日、金融機関が短期間のお金を貸し借りする市場がざわついた。償還までの期間が短い国債に大規模な買いが入り、3カ月物の利回りがマイナス0.140%から同0.154%に、当時で4カ月ぶりの低水準に陥った。米債務上限問題への警戒が強まっていた時期で「市場の混乱を警戒して(安全資産とされる)国債を買う動きが強まった」との観測が市場に広がった。

 だがある外資系ディーラーは「主な買い手は海外の中央銀行。理由は米債務問題じゃない」と話す。マイナス金利を導入してからもしばしば起きる現象で、買い手は欧州やアジアの中央銀行だと予想する。

 日本では償還までの期間が5年以下の新発国債は利回りがマイナス圏にある。もっていると日銀に利子を払わねばならず買っても損してしまう。

 そんな国債を海外投資家がこぞって買いに来るのは「日本の短期国債は短期の利ざや狙いにはおいしい商品」(外資系証券の短期ディーラー)だからだ。ここには2段階のからくりがある。

 まずは、マネーの流れ。マネーは一般に金利の低い国から高い国に流れる。足元の日米の長期金利は日銀がゼロ%程度に抑えている日本に対し、利上げ局面の米国は2%を超える。ドルの需要は高まり、円を元手にドルを借りるとそのコストは高くなる。逆に、ドルを貸せば貸賃が収益になる状況が続いている。

 海外中銀はドルを貸すことで調達した円を、日本で運用する。ドルの賃貸料ですでに収益があがっているから、利回りがマイナスの国債にお金を投じて少し目減りしてもきちんと利益を手にできるというわけだ。

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 国債のマイナスの幅が大きく、ドルの貸賃料を食いつぶしてしまう場合はどうするのか。マネーが向かうのは日銀だ。

 日銀には海外の中銀が持つ円を預かる口座がある。海外金融当局の円建て外貨準備も、一部はここに積み立てられる。この預金は、今年6月まではマイナス金利の適用外だった。つまりドルを円に替えて日銀の口座に入れるだけでリスクなく、利益を得られる。

 海外中銀がこんなうまい手を放っておくはずがない。預金残高は今年6月で16兆円超と1年前の約10兆円から6割も増えた。預金の伸びに伴って円建ての外準も増え、世界の外準のうち円は6月末時点で4300億ドル(約48兆円)と前年同期に比べ3割も増加。円建ての3分の1が日銀の預金に回っている計算だ。

 東短リサーチの加藤出氏は「これ以上、預金が増え続ければ(国内と海外勢との)不公平感が強まる」と話す。

 見過ごせなくなった日銀は、マイナス金利政策の導入から1年4カ月たった6月、やっと海外中銀の円建て預金も適用対象とした。ただし適用されるのは預金すべてのうち、数%程度のもよう。6月以降に預金が一時的に減ったが、10月10日時点では17兆円超と過去最高を更新した。預金は減らない。

 海外中銀へのマイナス金利適用で、日銀当座預金の保有者との不公平はひとまず、改善された。ある日銀行員は「海外中銀の預金増に歯止めを掛ける効果はあった」と安堵する。しかし国内投資家が運用難にあえぐのに一部の海外投資家に収益機会を提供している状況は変わらない。

 「サプライズ緩和」を狙ったマイナス金利導入だが、副作用を指摘する声が目立ち始めている。しかし掲げる2%の物価上昇は遠い。



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