エネルギー日本の選択(2) 再エネ活用、欧州の背中遠く 2018/06/19 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「エネルギー日本の選択(2) 再エネ活用、欧州の背中遠く」です。





5月1日午後1時ごろ、ドイツで再生可能エネルギーの発電量が約5400万キロワット時に達した。この時の需要は5377万キロワット時。つまり必要な電力量をすべて再エネが生み出した。

全体の3割に

欧州で新エネルギーの伸びが著しい。欧州28カ国の太陽光と風力、バイオマスの発電量は合計で2017年に石炭火力を超えた。12年に2倍以上あった差を5年で逆転。水力も含めれば全体の3割を占める。

原動力は各国政府が明確な方針を打ち出したことだ。脱原発を宣言したドイツをはじめ、デンマークのように国を挙げて風力の育成を掲げるところもある。

掛け声だけではない。例えば、国境を越えて電力を融通する国際連系線。天候で発電量が変動する再エネを、より利用できるようにするための増強が進む。

デンマーク電力最大手アーステッドのヘンリク・ポールセン最高経営責任者(CEO)は「風力で足りないときはノルウェーの水力やドイツの火力などを簡単に受け入れられる」と解説する。国内の電源の7割以上を原発が占めるフランスも調整力として機能し、欧州全体で過不足を補う。

規模の拡大でコストも下がる。例えば太陽光は日本の1キロワット時20円に対し、欧州は10円。もはや既存の火力にもひけを取らない。

一丸でエネルギー転換に突き進む欧州に対し、日本の動きは見劣りする。近く閣議決定するエネルギー基本計画。水力も含めた再エネの比率を30年度に22~24%としたが、16年度の15%から伸びは大きくない。

日本は大規模な風力発電を設置できる海や平地など適地が少ない。だがパリ協定が発効し、日本も50年に温暖化ガスを8割減らす長期目標を掲げる。不利を嘆いてばかりはいられない。

蓄電池で打開

すでに日本は温暖化対策で他の先進国から遅れている。国際エネルギー機関(IEA)によると、日本の発電1キロワット時あたりの二酸化炭素(CO2)排出量は556グラム(14年時点)。400グラム台の米国やドイツ、英国を上回っている。

日本はいま何をすべきか。東京工業大学の柏木孝夫特命教授は「強みを持つ蓄電池や水素の技術開発に力を入れるなど、まだまだ打開策はある」と話す。

電気をためて必要なときに供給する蓄電池は再エネの弱点を補える。本格的な普及には今の半分以下にコストを下げる必要があるとされるが、実現できれば強力な後押しになる。

地域間で電力を融通する仕組みも必要だ。東日本と西日本は周波数が異なり電気を送れる量が限られるが、設備を増強すれば送電量を増やせる。東日本大震災後から判明していた課題が今なお残る。大手電力が独占する送電網を新規参入者が使いやすくする制度面の後押しも必要だ。

地道に国内のインフラを改善し、導入量を増やしていけば再エネの欧州とのコスト差は縮められる。

新たな技術として発電の燃料に水素を使う方法もある。水素は燃焼してもCO2を排出しない。水や石油などを分解してつくる水素の関連技術は日本企業が強みを持つ。中長期で取り組めば世界に先行できる。

新たなエネルギーの普及には膨大な開発投資がかかる。日本はどんな将来像をめざすのか。国が明確な方向性を示さないと、民間企業も焦点を絞れない。



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