クラウドもアマゾン 三菱UFJやソニー導入、国内の十数万社が 利用 2017/11/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「クラウドもアマゾン 三菱UFJやソニー導入、国内の十数万社が利用」です。





 米アマゾン・ドット・コム子会社でクラウド最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が日本でも存在感を高めている。2013年に約2万社だった国内利用企業は現在十数万社。4年で5倍以上になった。クラウド利用に消極的だった金融機関も取り込み始めている。産業構造の変革を迫る「アマゾン・エフェクト」が話題になるが、クラウド事業での安定収益があってこそ今のアマゾン躍進がある。

 データセンターの設備や機能をネットを通じて、企業や開発者に貸し出すビジネスをAWSは世界で手掛けている。16年の世界売上高は約122億ドル(約1兆4000億円)と14年の2.6倍に達した。17年は第3四半期までで、既に前年実績を超えている。「2位以下の大手14社を足してもAWSに及ばない」とされる圧倒的首位だ。

 AWSの日本進出は11年。AWSジャパン(東京・目黒)を設立し、関東にデータセンターを開設したことで利用が増えた。18年春には関西にもバックアップ用センターを稼働させる。

 「17年は金融機関からの引き合いが急増している」。AWSジャパンの岡崎禎技術本部長は日本での手応えを語る。きっかけは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が大手行で初めて社内システムをクラウドに移行すると決めたこと。その委託先がAWSジャパンだ。

「安全対策詳しい」

 住信SBIネット銀行は基幹系システム以外の全てのシステムをクラウド移行する方針を決めた。個人情報を扱うローン申請システムもAWS上で動かす。基幹系についても「今後の検討課題」(同行)としている。

 金融機関は従来、システムを社外に置くことに抵抗があった。しかし、「どんな銀行のシステム担当よりAWSのほうがセキュリティーに詳しい」(同行の木村紀義最高技術責任者)ことが認知され、続々と委託検討が始まっている。

 新サービスの開発基盤として活用するSOMPOホールディングスの楢崎浩一グループ最高デジタル責任者(CDO)は「自前のデータセンターが安全でクラウドが危険というのは迷信」と言い切る。

 ソニーはゲーム機のほか、18年1月発売の犬型ロボット「aibo(アイボ)」で最大の特徴である「個性」づくりにAWSを活用する。川西泉執行役員は「AWSは90種類以上のサービスラインアップとサポート体制が魅力」とし、「一度使い始めて慣れると他のクラウドサービスに移りにくい。先行者の強みだ」と解説する。

 利用分野も広がる。プラントライフシステムズ(横浜市)はトマト栽培の効率化システムに活用するが、進出を目指す中国でもサービス利用できる点を考慮しAWSを選んだ。地域FM放送のエフエム和歌山(和歌山市)ではアマゾンの人工知能(AI)がAWSのクラウド経由でニュースを読み上げる。

値下げ、既に62回

 AWSの武器は利用料金の安さだ。これまで実施した値下げは62回。例えば主力サービスのひとつ「S3」は日本への進出当時に1ギガ(ギガは10億)バイト0.14ドル程度だったが、現在は0.023ドルと8割以上安い。AWSジャパンの長崎忠雄社長は「多くの企業で『クラウドシフト』が起きている」と語る。

 他社も静観していない。「AWSの見積もりを見せてほしい。その半額にする」。システム開発のフューチャー・ワン(東京・品川)にクラウド大手の営業担当が詰めかける。フューチャー・ワンの桜田浩社長は「日本マイクロソフト(MS)や日本オラクルの営業攻勢がすごい」と話す。

 日本MSの連結売上高に占めるクラウド事業は15年度に7%だったが、17年度は47%。けん引役は大手企業の導入拡大。浅野智業務執行役員は「基本ソフト(OS)や業務ソフトを普段から使う企業にとって安心感がある」とアピールする。他社は価格を突破口とみており、当面、激しい競争が続きそうだ。

 今後、あらゆるものがネットにつながる「IoT」時代が本格到来することで、さらにクラウドの重要性が高まる。センサーから集めた膨大なデータを保存しAIで分析する際の土壌として欠かせないからだ。日本MSの浅野氏は「現在、AIの95%がクラウド上で稼働していない」と語り、拡大余地は大きい。既存のクラウド事業者だけでなく、グーグルなども強力なライバルとなる。

 調査会社IDCジャパン(東京・千代田)によると、日本のクラウド市場は3762億円。21年には3倍の1兆538億円に拡大する見込みだ。

(宮住達朗、薬文江)



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