グローバルオピニオン不動産に資金流入続く 米ジョーンズラングラサール社長 コリン・ダイアー氏 2015/10/05 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「グローバルオピニオン不動産に資金流入続く 米ジョーンズラングラサール社長 コリン・ダイアー氏」です。





 2008年の金融危機以降、欧米の中央銀行による超低金利政策と量的金融緩和(QE)は不動産市場に大きな影響を及ぼした。企業の不動産投資を刺激し、価格を危機的な水準から戻した。現在、不動産価格はロシアやブラジルなど一部を除き上がっている。金融危機以前は借金に支えられた投資が不動産ブームをつくり出したが、今はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に支えられた上昇だ。

 例えば米国では技術開発や教育が盛んなサンフランシスコ、ボストンなどの都市で不動産価格が上昇している。日米欧では不動産投資利回りは依然、債券投資より高く、資金流入が続いている。

 今後、国によっては政策金利を上げるところもあるだろう。利上げ自体は経済が強く、自律的に成長するサインで、ポジティブにとらえるべきだ。中央銀行はショックを与えたくないので、利上げの速度は遅く、幅も小幅だとみている。

 着実な成長を背景にしてオフィスなどの賃料が上がっているため、それが利上げの影響を和らげるだろう。不動産市場は長期的な視点で物を見ており、株式市場のように短期的で激しい価格変動は起きないと見ている。

 国際的には中国経済の先行き不安が出て、中国の株価が下がった。中国は経済のリード役を製造業からサービス業に移そうとしている。大規模な改革の取り組みだけに、一部で円滑にいかないからといって驚くべきことではない。中国の不動産価格は政府が過度の値上がりを防ぐため取得規制を強化したり、銀行貸し出しにブレーキをかけたりしたため、14年には価格が下落した。ただそれを不動産バブルの崩壊とは見ていない。

 中国には巨大な不動産需要があるのに、供給は少ない。政府が介入をやめれば、需給を映して価格は上がる。政府は成長にコミットしているし、そのためにインフラ・住宅投資をする考えを示している。今後20年は中国の成長ストーリーは続くのではないか。実際、今年になって不動産価格は多くの都市で上昇に転じている。

 構造的な面に目を向けると、不動産投資や売買に関して、多くの国が独自の規制や投資プロセスを持っている。資金調達はファンドを通してしなければならないとか、外資比率が一定以上だと税制上不利になるといったものだ。

 歴史上の要因や地域の事情が背景だが、それが近代的な枠組みの中で適しているのか、資本や情報の流れを阻害していないかを絶えず精査する必要がある。日米などは環太平洋経済連携協定(TPP)で貿易の障害を低くしようとしているが、そうした考えを不動産部門にも取り入れ、国際的な不動産投資の障壁は低くすべきだ。

(談)

Colin Dyer ネット調達のワールドワイド・リテール・エクスチェンジ最高経営責任者を経て、総合不動産サービス大手のJLラサールに。04年から現職。



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