グローバルオピニオン エネルギー市場、変革の嵐 英BPグループチーフエコノミスト スペンサー・デール氏 2015/07/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「グローバルオピニオン エネルギー市場、変革の嵐 英BPグループチーフエコノミスト スペンサー・デール氏」です。





 2014年のエネルギー市場は大きな変化に見舞われた。要因となったのは米国でのシェール革命と中国経済の調整、気候変動と環境問題への関心だ。特にシェール革命と中国の行方は今後5年、10年、エネルギー供給と需給の両面で影響を与えるだろう。

 シェールオイルの生産が増えた結果、米国は14年、サウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になった。昨年の米国の生産量は前年比で日量160万バレル増。これは世界の原油増産量の4分の3に相当する。シェールオイルの生産性は、7年間で7倍に伸びた。

 石油輸出国機構(OPEC)は高水準で生産を続け、イランの核協議も合意に達した。経済制裁が解除されれば、年末か、来年初めにはイラン産原油も増える。米国の原油在庫は来年を通して増え続ける可能性がある。原油価格の回復は従来考えていたよりも時間がかかると見ている。

 シェールオイルの生産性は短期なら今後も向上が見込める。だが、従来のようなシェールオイルの増産は、2、3年しか続かないのではないか。資源量がそれほど多くなく、生産量は横ばいになる時が来る。「OPECは死んだ」というのは誇張されすぎだ。今も市場シェアの3分の1を押さえ、35年までをみればシェアは拡大していく。

 米国ではシェールガスのほうが伸びる余地がある。埋蔵量が多く、シェールガスを液化天然ガス(LNG)に加工して輸出しようとしている。これが国内ガス価格の下落を防ぐ安全弁になる。米国は今後20年、世界有数のエネルギー供給国として期待できる。

 中国のエネルギー消費は昨年、2.6%の増加にとどまった。これは1998年以降で最も低い。中国の国内総生産(GDP)の成長率は7.4%だった。GDPに比べエネルギー消費の伸びが鈍かったのは、中国経済のバランスが変わりつつあるからだ。

 重工業などエネルギー多消費型産業が減速する一方、消費者向けやサービス産業は伸びた結果、エネルギー効率の改善が進んだ。多額の投資が必要な製造業からサービス業へシフトが進み、同じGDP成長を実現するためにかつてほどエネルギーを必要としなくなった。

 35年までの世界のエネルギー需要は年率1.5%で増える。過去10年は平均2.5%増。この差は中国やインドなどの成長パターンの変化が主な要因だ。これは温暖化ガスの排出量にも影響する。

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーは今後20年、化石燃料を上回る年率6.5%で伸びる。ただし、1次エネルギーに占める再生エネルギーの比率は現在の3%から8%に高まるが、1割には満たない。35年時点でも化石燃料が主要なエネルギー源であることは変わらない。

(談)

Spencer Dale 英中銀イングランド銀行の理事やチーフエコノミストを経て2014年にBP入り。エネルギー分析で定評のある「BP統計」の責任者。48歳。



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