グローバルオピニオン 反トランプへ若者動く ジェフリー ・サックス氏 米コロンビア大教授 2017/2/27 本日の日本経済新 聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のオピニオン面にある「グローバルオピニオン 反トランプへ若者動く ジェフリー・サックス氏 米コロンビア大教授」です。





 米国における主要な政治的分断は政党や州の間ではなく、世代間にみられる。18~35歳のミレニアル世代の大半はトランプ氏に投票しなかった。トランプ氏の支持基盤は主に45歳以上だ。重要なのは、今日の若いリベラル派があす高齢の保守派になることはないということだ。今後、若い有権者は同氏の政策に抵抗する勢力の中核となるだろう。

 若者と年長者は、支持する政策に少なくとも3つの大きな違いがある。まず、若者は年長の世代よりも社会問題についてリベラルだ。彼らにとって、米国の人種や宗教、性的志向が複数あることは、大きな問題ではない。

 第2に若者は情報革命による未曽有の経済問題に直面している。彼らの参入する労働市場はロボットや人工知能(AI)が急速に台頭し、従来の労働にとって代わろうとしている。一方、高齢の富裕層はこうした技術革命による株価上昇から利益を得ている。

 トランプ氏は法人税や遺産税(相続税)の減税を進めている。高齢の富裕層には恩恵となるが、財政赤字を通じ若者には一層の負担を強いることになる。若者が必要とする政策はその正反対で、高等教育や職業訓練、再生可能エネルギーのインフラ投資への財源とするために年長世代の富への課税を強化することだ。

 第3に若者は両親や祖父母に比べ気候変動とその脅威に対する意識が高い。トランプ氏は化石燃料をいま一度後押しして年長の世代の関心を引こうとしているが、若者はそんな話には乗らない。彼らはクリーンエネルギーを求め、自分や子どもの世代が受け継ぐ地球の破壊と戦うだろう。

 トランプ氏の経済政策は年配で、白人で、米国生まれの人々に焦点を合わせている。同氏はロボットやAIが提起する21世紀の雇用問題に向き合わず1990年代の北米自由貿易協定(NAFTA)の自由貿易を巡る議論を蒸し返す。そして将来の環境の大惨事という代償を払ってまでも米国の石炭、原油、天然ガスからあと数年間利益をしぼり出すことに取りつかれている。

 トランプ氏は歴代のどの大統領よりも近視眼的だ。メキシコや中国との貿易戦争や、悲劇的なほど誤解に基づいたイスラム教徒の移民の入国禁止などでは若者の求めに応えることはできない。

 トランプ氏の政治的な成功は例外的な出来事にすぎず、転換点ではない。2020年にはミレニアル世代が支持する大統領候補によって、彼らの時代がやってくる公算が大きい。米国は多民族で、社会問題にリベラルな考え方を持ち、気候変動に対する意識が高く、新技術の経済的利益をもっと公平に共有する国になるだろう。((C)Project Syndicate)

 Jeffrey Sachs 米ハーバード大卒。コロンビア大地球研究所所長。専門は開発経済学。南米、東欧など各国政府の経済顧問も務める。62歳。

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■4年後、修復できるか

 次の米大統領選ではトランプ政権と正反対の政権が誕生する公算との見方だが、今回だって全米での票数は民主党候補が300万近く多かった。トランプ氏の勝利は州ごとに勝敗を決める米独自の選挙制度の産物にすぎない。問題は、トランプ氏の向こう4年間の暴走によって、次の政権の手に負えないような国際紛争が起き、米社会の分断がさらに深まるおそれがあることだ。保守にもリベラルにも希望を見いだせなくなったとき、米国はどこへ向かうのか。想像するだに恐ろしい。(編集委員 大石格)



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